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●詩、小説●
2024-12-22 02:38:14バーチャル学校vol3 08
作 林柚希
メアリーから宿泊する為の部屋に案内された。
そこは、10畳プラス6畳ほどの部屋で、布団は2組畳まれて置かれていた。
「メアリーさん、ありがとう。」僕がお礼を言った。
「メアリーさん、着替えはどういたらいいですか?」ケーはなんだか言いずらそうに話した。
「ホホ、押し入れに入っているわよ。」上機嫌でメアリーは返答した。
その後、二人で押し入れを確かめると、浴衣が二組入っていた。
どうやら、二人用の宿泊部屋のようだった。
僕はトイレで、ケーは部屋で浴衣に着替えると、どちらともなく話し始めた。
「皆、心配しているだろうね。」僕は、肝試しの事はなるべく言わないでおきたいと思った。
「そうだよね、肝試しで失踪なんて、シャレにもならないよね。」ケーは早速行ったので、僕は仕方ないという顔をしてしまった。
「うん?そうだね。ところでね、魔法で連絡がつくかやってみようと思って。」僕は何もしないよりマシだと思って言った。
「トゥルー、できるの!?だって閉鎖空間だって言われたのに。」ケーは信じられない、といった顔をした。
「やってみなければ何とも言えないけれどね。」僕は、またヘタなウィンクをした。
「それでね。お願いしたいことがあるんだ。」僕は魔法の手順を言うとケーは感心しつつ頷いて聞いてくれた。
さて、しばらくして。
「メアリーさんからもらってきたよ。」ケーはコピー用紙とペンを数本、テーブルの上に置いた。
「サンクス。…それでね、さっき話した人形なんだけど…。」そう言うと、僕はケーにコピー用紙に書くよう促した。
「了解。どれどれ。」ケーは器用に、ワンダリング先生と、僕の父さん、母さんを書き始めた。
更に時間が経ち、ケーはワンダリング先生と、僕の父さん、母さんを書き終えた。
「上手いもんだね。感心するよ。」
僕は、もう一枚に簡単な魔法陣を描き、その上に切り抜いた3人を置いた。
集中するための呪文を唱えた後、僕はこう言った。
「人形に命じる。僕の担任であるワンダリング先生、それから僕の父さん、母さんに繋ぎなさい。」
すると、人形の真ん中にスポットライトが当たったようになり、シュンと空間を通り抜ける音がした。僕にはわかるぞ。
僕は集中すると魔法陣に両手を置くようにケーに言った。
(…。ワンダリング先生。聞こえますか?)僕は何度もワンダリング先生に心の通信を繋いでみた。
(ワンダリングだ。…誰だい?)ワンダリング先生は訝しんでいるようだ。
(僕、トゥルーです。ケーもいます。)僕はかなり安堵した。
(ケーです。私もいます。)ケーも急いでいった。ケーも話しかけられるようにしてある。
(君達!?どこにいるんだい?探したけれどどこにも見つからなかったぞ。)ワンダリング先生はかなり驚いているようだ。
(僕達は、とある旅館にいます。肝試しで迷ってしまって。)僕は、一生懸命に話した。
(そうなのか。旅館!?…今地図を見ているんだが)意を決してワンダリング先生は言った。
(この島に旅館なんてないそうだ。おかしいな。)
(そうですか。僕達は相変わらず島にいると思います。)僕は説明をどうしようかと悩んだ。
(この旅館の一帯は閉鎖空間になっているんだそうです。)ケーが説明してくれた。
(閉鎖空間だって?なんでまた!)ワンダリング先生はわけがわからないと言った風だ。
(闇協会の妖怪で『ポセイドンモドキ』というのがいて、そいつがこの一帯を閉鎖しているそうです。)ケーが説明を続けてくれた。
(閉鎖されているので、電話もインターネットも通じないんです。)僕も言った。
(それで、閉鎖空間か。やつらめ。)ワンダリング先生はちょっと怒っているようだ。
(それでまた闇協会なんですよ。)ケーが言った。
(…なるほど、また闇協会か。『ポセイドンモドキ』ね。聞いたことないな。)それでも、僕達が見つかってワンダリング先生はちょっと落ち着いたようだ。
(それで、お願いがあるんですけどね。僕の父さんと母さんにも通信を繋いでくれませんか?)僕が言った。
(大丈夫。黙って聞いているよ。そうですよね、先輩とトゥルー君のお母さん。)ワンダリング先生が真面目に言った。
(聞いているよ。トゥルー、心配したぞ。)僕の父さんだ。それでも、僕の声を聞いて安心したようだ。
(私も安心したわよ。旅館なんてお金はあるの?)僕の母さんはまだ心配しているようだ。
(それが、トゥルーのお母さん。『ポセイドンモドキ』をやっつけたら代金はいらないと言われたんです。)
(ちょっと横合いから失礼しますよ。私はメアリーという者でしてね。旅館の主をしています。)メアリーが入ってきた。
(メアリーさん。すみませんが、トゥルー君とケーさんをよろしくお願いします。)ワンダリング先生だ。
(わかりましたよ。私もね、この一帯の閉鎖空間をなんとかしてもらおうと思っているのでね。お代はいいんですよ。)
メアリーが嬉しそうに言った。
(息子とケーさんがお世話になります。)母さんだ。ちょっと溜飲が下がったと言った感じだ。
(今回二人がお世話になります。)父さんだ。父さんはきっとペコっとお辞儀をしているに違いない。
(大丈夫。二人ともしっかりしているようだから、私も安心していますよ。)メアリーはそう言った。
(それでは、私は下がりますから。でも聞いていますよ。)メアリーはそう言うと話さなくなった。
(それでね、私もお願いがあります。)ケーが言った。心なしか寂しそうだ。
(なんだい?)ワンダリング先生は、何でも言ってくれ、と続けて言った。
(私もお父さんとお母さんに私が無事だと伝えてほしいんです。)ケーは言った。
(そうだな。…ケーさんのお父さんとお母さんにも伝えるよ。)ワンダリング先生は、任せろと言った風だ。
(本当は直接話したいけれど、それは難しいですよね?)ケーは言わずにはおれなかったようだ。
(ケーさんのご両親には魔法の話はしていないんだよ。普通の人達でもあるしね。)ワンダリング先生は言った。
(そうですか。)ケーはがっかりしたようだ。
(まぁ、後で電話で話しておくから心配することはないよ。)ワンダリング先生は穏やかに言った。
(わかりました。)僕とケーは同時に言った。
(とりあえず、今日は旅館に泊まります。)僕は続けて言った。
(目下のところは『ポセイドンモドキ』ですけど、調べてもらってもいいですか?)
(わかった。調べておこう。がんばってくれ。)ワンダリング先生だ。
(ワハハ。ミツケタゾ!)ガサガサした甲高い声が響いた!
(誰だ!)僕は叫んだ。
(俺は『ポセイドンモドキ』ダ。ドウダ、ビックリシタカ。)ムダに偉そうなヤツだな。
(『ポセイドンモドキ』だって?)皆同時に叫んだ。一同、驚いている。
(ヘイサクウカンデ、ツウシンシテイルヤツがイルカラ、シラベテイタゾ)
(だからどうした。閉鎖を解け!)ワンダリング先生だ。こんな時頼もしい。
(イヤダネ。ドウシテモナラ、ワガシロにコイ!)ポセイドンモドキだ。なんだか気持ち悪い奴だな。
(それは、どこにあるんだ!乗り込んでやる!)城だって!?僕は急いで言った。
(シロハ、ウミノナカニ、カマエテイル。コレルカナ?)ワハハとおかしくもないのに笑っている。
(行ってやろうじゃないの!待ってなさいよ!)ケーはカチンとキタらしい。僕もだ。
(マッテイルゾ)そう言うと、ポセイドンモドキは、通信を切っていった。
(トゥルーにケーさん!がんばってくれ!)父さんだ。励ましてくれてる。
(トゥルーにケーちゃん。頑張ってね。)母さんだ、ホッとするなぁ。
(ワンダリング先生にトゥルーのお父さん、お母さん。ありがとうございます。)ケーは嬉しいそうに言った。
(ワンダリング先生、父さん、母さん。頑張るよ!)僕は締めに言った。
(それじゃ、オヤスミ。)こう言うとケー、ワンダリング先生、父さん、母さんの順に、おやすみなさい、と言って心の通信を切った。
この作品は、どこにも投稿していません。
いわばおろしたての作品でしょうね。
最後まで載せますので、どうぞ楽しんでくださいね。
物語の初めは、こちらになります。
バーチャル学校vol3-01
物語の続きは、こちらになります。
バーチャル学校vol3-02
物語の続きは、こちらになります。
バーチャル学校vol3-03
物語の続きは、こちらになります。
バーチャル学校vol3-04
物語の続きは、こちらになります。
バーチャル学校vol3-05
物語の続きは、こちらになります。
バーチャル学校vol3-06
物語の続きは、こちらになります。
バーチャル学校vol3-07
物語の続きは、こちらになります。
バーチャル学校vol3-08
メアリーから宿泊する為の部屋に案内された。
そこは、10畳プラス6畳ほどの部屋で、布団は2組畳まれて置かれていた。
「メアリーさん、ありがとう。」僕がお礼を言った。
「メアリーさん、着替えはどういたらいいですか?」ケーはなんだか言いずらそうに話した。
「ホホ、押し入れに入っているわよ。」上機嫌でメアリーは返答した。
その後、二人で押し入れを確かめると、浴衣が二組入っていた。
どうやら、二人用の宿泊部屋のようだった。
僕はトイレで、ケーは部屋で浴衣に着替えると、どちらともなく話し始めた。
「皆、心配しているだろうね。」僕は、肝試しの事はなるべく言わないでおきたいと思った。
「そうだよね、肝試しで失踪なんて、シャレにもならないよね。」ケーは早速行ったので、僕は仕方ないという顔をしてしまった。
「うん?そうだね。ところでね、魔法で連絡がつくかやってみようと思って。」僕は何もしないよりマシだと思って言った。
「トゥルー、できるの!?だって閉鎖空間だって言われたのに。」ケーは信じられない、といった顔をした。
「やってみなければ何とも言えないけれどね。」僕は、またヘタなウィンクをした。
「それでね。お願いしたいことがあるんだ。」僕は魔法の手順を言うとケーは感心しつつ頷いて聞いてくれた。
さて、しばらくして。
「メアリーさんからもらってきたよ。」ケーはコピー用紙とペンを数本、テーブルの上に置いた。
「サンクス。…それでね、さっき話した人形なんだけど…。」そう言うと、僕はケーにコピー用紙に書くよう促した。
「了解。どれどれ。」ケーは器用に、ワンダリング先生と、僕の父さん、母さんを書き始めた。
更に時間が経ち、ケーはワンダリング先生と、僕の父さん、母さんを書き終えた。
「上手いもんだね。感心するよ。」
僕は、もう一枚に簡単な魔法陣を描き、その上に切り抜いた3人を置いた。
集中するための呪文を唱えた後、僕はこう言った。
「人形に命じる。僕の担任であるワンダリング先生、それから僕の父さん、母さんに繋ぎなさい。」
すると、人形の真ん中にスポットライトが当たったようになり、シュンと空間を通り抜ける音がした。僕にはわかるぞ。
僕は集中すると魔法陣に両手を置くようにケーに言った。
(…。ワンダリング先生。聞こえますか?)僕は何度もワンダリング先生に心の通信を繋いでみた。
(ワンダリングだ。…誰だい?)ワンダリング先生は訝しんでいるようだ。
(僕、トゥルーです。ケーもいます。)僕はかなり安堵した。
(ケーです。私もいます。)ケーも急いでいった。ケーも話しかけられるようにしてある。
(君達!?どこにいるんだい?探したけれどどこにも見つからなかったぞ。)ワンダリング先生はかなり驚いているようだ。
(僕達は、とある旅館にいます。肝試しで迷ってしまって。)僕は、一生懸命に話した。
(そうなのか。旅館!?…今地図を見ているんだが)意を決してワンダリング先生は言った。
(この島に旅館なんてないそうだ。おかしいな。)
(そうですか。僕達は相変わらず島にいると思います。)僕は説明をどうしようかと悩んだ。
(この旅館の一帯は閉鎖空間になっているんだそうです。)ケーが説明してくれた。
(閉鎖空間だって?なんでまた!)ワンダリング先生はわけがわからないと言った風だ。
(闇協会の妖怪で『ポセイドンモドキ』というのがいて、そいつがこの一帯を閉鎖しているそうです。)ケーが説明を続けてくれた。
(閉鎖されているので、電話もインターネットも通じないんです。)僕も言った。
(それで、閉鎖空間か。やつらめ。)ワンダリング先生はちょっと怒っているようだ。
(それでまた闇協会なんですよ。)ケーが言った。
(…なるほど、また闇協会か。『ポセイドンモドキ』ね。聞いたことないな。)それでも、僕達が見つかってワンダリング先生はちょっと落ち着いたようだ。
(それで、お願いがあるんですけどね。僕の父さんと母さんにも通信を繋いでくれませんか?)僕が言った。
(大丈夫。黙って聞いているよ。そうですよね、先輩とトゥルー君のお母さん。)ワンダリング先生が真面目に言った。
(聞いているよ。トゥルー、心配したぞ。)僕の父さんだ。それでも、僕の声を聞いて安心したようだ。
(私も安心したわよ。旅館なんてお金はあるの?)僕の母さんはまだ心配しているようだ。
(それが、トゥルーのお母さん。『ポセイドンモドキ』をやっつけたら代金はいらないと言われたんです。)
(ちょっと横合いから失礼しますよ。私はメアリーという者でしてね。旅館の主をしています。)メアリーが入ってきた。
(メアリーさん。すみませんが、トゥルー君とケーさんをよろしくお願いします。)ワンダリング先生だ。
(わかりましたよ。私もね、この一帯の閉鎖空間をなんとかしてもらおうと思っているのでね。お代はいいんですよ。)
メアリーが嬉しそうに言った。
(息子とケーさんがお世話になります。)母さんだ。ちょっと溜飲が下がったと言った感じだ。
(今回二人がお世話になります。)父さんだ。父さんはきっとペコっとお辞儀をしているに違いない。
(大丈夫。二人ともしっかりしているようだから、私も安心していますよ。)メアリーはそう言った。
(それでは、私は下がりますから。でも聞いていますよ。)メアリーはそう言うと話さなくなった。
(それでね、私もお願いがあります。)ケーが言った。心なしか寂しそうだ。
(なんだい?)ワンダリング先生は、何でも言ってくれ、と続けて言った。
(私もお父さんとお母さんに私が無事だと伝えてほしいんです。)ケーは言った。
(そうだな。…ケーさんのお父さんとお母さんにも伝えるよ。)ワンダリング先生は、任せろと言った風だ。
(本当は直接話したいけれど、それは難しいですよね?)ケーは言わずにはおれなかったようだ。
(ケーさんのご両親には魔法の話はしていないんだよ。普通の人達でもあるしね。)ワンダリング先生は言った。
(そうですか。)ケーはがっかりしたようだ。
(まぁ、後で電話で話しておくから心配することはないよ。)ワンダリング先生は穏やかに言った。
(わかりました。)僕とケーは同時に言った。
(とりあえず、今日は旅館に泊まります。)僕は続けて言った。
(目下のところは『ポセイドンモドキ』ですけど、調べてもらってもいいですか?)
(わかった。調べておこう。がんばってくれ。)ワンダリング先生だ。
(ワハハ。ミツケタゾ!)ガサガサした甲高い声が響いた!
(誰だ!)僕は叫んだ。
(俺は『ポセイドンモドキ』ダ。ドウダ、ビックリシタカ。)ムダに偉そうなヤツだな。
(『ポセイドンモドキ』だって?)皆同時に叫んだ。一同、驚いている。
(ヘイサクウカンデ、ツウシンシテイルヤツがイルカラ、シラベテイタゾ)
(だからどうした。閉鎖を解け!)ワンダリング先生だ。こんな時頼もしい。
(イヤダネ。ドウシテモナラ、ワガシロにコイ!)ポセイドンモドキだ。なんだか気持ち悪い奴だな。
(それは、どこにあるんだ!乗り込んでやる!)城だって!?僕は急いで言った。
(シロハ、ウミノナカニ、カマエテイル。コレルカナ?)ワハハとおかしくもないのに笑っている。
(行ってやろうじゃないの!待ってなさいよ!)ケーはカチンとキタらしい。僕もだ。
(マッテイルゾ)そう言うと、ポセイドンモドキは、通信を切っていった。
(トゥルーにケーさん!がんばってくれ!)父さんだ。励ましてくれてる。
(トゥルーにケーちゃん。頑張ってね。)母さんだ、ホッとするなぁ。
(ワンダリング先生にトゥルーのお父さん、お母さん。ありがとうございます。)ケーは嬉しいそうに言った。
(ワンダリング先生、父さん、母さん。頑張るよ!)僕は締めに言った。
(それじゃ、オヤスミ。)こう言うとケー、ワンダリング先生、父さん、母さんの順に、おやすみなさい、と言って心の通信を切った。
この作品は、どこにも投稿していません。
いわばおろしたての作品でしょうね。
最後まで載せますので、どうぞ楽しんでくださいね。
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バーチャル学校vol3-02
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バーチャル学校vol3-04
物語の続きは、こちらになります。
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バーチャル学校vol3-07
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