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●詩、小説●
2024-12-22 02:22:29バーチャル学校vol3 07
作 林柚希
思い切って旅館に入ってみる。
そこには、カウンターの窓口があり、気のいいおばあちゃん然とした風体の老人がこっくりこっくりと眠りそうになっていた。
「あの、ちょっといいですか?」ケーが思い切って口にする。
「はい?」おばあちゃんはやっと起きたようで、まだ寝ぼけまなこだ。
「僕達道に迷っちゃって。」意を決して僕も言った。
「この辺は1本道なのに、たまに迷う人がいるのよね。なんでしょうねぇ。」おばあちゃんは疑問でいっぱいという顔をしている。
「それで、私達もう疲れてて。一晩泊めてもらえないでしょうか。」ケーが言った。
「はぁ、一晩ねぇ。」おばあちゃんは、考え中のようだ。
「僕達、少しならお金も持っています。」思い切って僕も言った。
「よろしくお願いします。」僕もケーも一礼してお願いした。
「まぁ、いいですよ。最近、お客さんが来なくてね。」おばあちゃんが立ち上がった。
「ありがとうございます。」僕もケーもまたしてもシンクロした。
「もう旅館は鍵をかけますね。話は奥で聞きましょう。」奥から鍵を取りだすと、玄関まで行き鍵をかけた。
旅館の玄関から直ぐ近くの応接間で、話をすることになった。
「私は、メアリーと言います。よろしくね。」開口一番、おばあちゃんが言った。
「僕はトゥルーといいます。よろしく。」僕はもう一度一礼した。
「私はケイトです。ケーと呼んでください。」ケーも一礼した。
「あなた方は、まだ未成年ね?まぁ、座っていいわよ。」メアリーはソファを勧めるとメアリーも座った。
「はい、その通りです。」僕も座った。
「その通りですね。」ケーも座った。
「あなた方はどうしてここに来ることになったの?」メアリーは言った。
「はい。僕達は臨海学校でこの島にやってきました。」僕はここから言わなきゃと思った。
「それで、学校のレクリエーション活動で肝試しをしていて。」ケーも説明した。思い出したのか、心なしか青ざめている。
「それから、道に迷ってしまってここにやってきました。」僕も説明した。
(大丈夫だよ、ケー。)僕はできるだけ優しく心の通信で言った。
「そうなの。難儀していたのね。」メアリーは安心させるようにニッコリ微笑んでいった。
「あなた方は、未成年ですものね。お金を取るわけにはいかないわね。」メアリー自身が納得するように言った。
「その代わり、頼みたいことがあるの。受けてくれるかしら?」メアリーは、困ったわね、という顔をして言った。
「僕達は…。」僕が言いかけていたら、遮るようにしてケーが言った。
「私たちもできることとできないことがあります。お話次第です。」ケーはキッパリと言った。
(ケー、ナイスファイト!サンクスだよ。)僕は励ますようにケーに言った。
(私も頑張るよ、トゥルー。)ケーも応えた。
「それはそうね。それならお話を聞いてね。」メアリーはまたもや困った、といような顔をして優しく言った。
「実を言うとね、ここら辺の土地は、閉鎖空間になっているのよ。」メアリーは言った。
「閉鎖空間?」僕とケーは同時に言った。
「そう。とある奴にね、閉じ込められているのよ。だから、電話も通じないのだけど、なぜか電気やガスは使えるのよ。」メアリーはどういうことかしらね、という風な顔をしていった。
「電話が通じない?」僕とケーは思わず顔を見合わせた。
そして、ケーはハッとしてスマホを取り出した。
「やっぱり。通じてないよ、トゥルー!」ケーはスマホを見るように言った。
ケーに言われて、僕もスマホを見てみた。スマホは電話が通じないし、インターネットも通じないようだった。
「ケーの言うとおりだね。どうしよ、後でワンダリング先生に言おうと思ったのに。」思わず僕はため息をついた。
「ワンダリング先生?」まぁ、と驚いた顔をしてメアリーは立ち上がると書棚から一冊の本を出してきた。
それは、『はじめての魔法』と書かれた本だった。
「懐かしいね!これ。」ケーは懐かしがって本を見た。
「これ、ワンダリング先生が書いた本だったよね?」僕も言った。
「ワンダリングと聞いて、ピンときたのよ。この本の著者ね?」ニコニコしてメアリーは言った。
「そうです。僕たちの学校のクラスの先生です。」僕は言った。世間は案外狭いのだろうか。
「そうなのね。実はね、私は少しだけ魔法が使えるのよ。」続けてメアリーは言った。
「それとね、あなた方の心の通信を聞いてね、これは!?と思ったのよ。」メアリーはニコニコしている。
「どういうことですか?」ケーが言った。
僕もケーも疑問だらけだ。
「あなた方は魔法使いでもあるのね?」メアリーは思い切って言ったようだった。
「いえ、私は魔法使いではないです。予知ができますが。」ケーもおばあちゃんに思い切って言った。
「僕は魔法使いです。実力はまだまだですけどね。」僕も言った。帰るために何でも言おうと思った。
「そうなのね。」と何度もメアリーは頷いていた。
「だからね、あなた方にならなんとかできるんじゃないかって、思ったのよ。」メアリーは考えながら言っているようだ。
「この閉鎖された土地はね、元々は普通の土地だったのよ。」目を細めて思い出しながら言っているようだ。
「だけど、数か月前に閉鎖されてしまったの。」メアリーは悲しいような怒りたいような複雑な顔をしていた。
「さっき、『とある奴』に閉じ込められた、と言っていましたね?」僕も思い出しながら言った。
「誰なんですか?それは。」ケーが言った。
「そいつはね、『ポセイドンモドキ』と名乗っていたわ。」メアリーが言った。
「ポセイドンモドキ!?」二人で同時に言った。
「ポセイドンなら、訊いたことがあります。」ケーが言った。
「とある神話の神様ですよ。ポセイドンというのは。」メアリーが言った。
「海の神様ですよね?」ケーが言った。
「正解ですよ。だけど『ポセイドンモドキ』は、神様じゃないの。妖怪なのよ。」メアリーは初めて」憎々しげに言った。
「奴が言っていたわ。俺は闇協会の妖怪である、と。何なのかしらね?」メアリーは怒っているようだった。
「闇協会?そう言っていたんですか?」ケーが言った。
「そうなのよ。あなた方は何か知っているの?」メアリーもまた疑問、という顔になった。
「僕たちの学校の資金源がかつて闇協会でした。」僕が言った。あの闇協会がここでも、か。
「魔法使いの現在は、隠れて光と闇に分かれて戦っています。その闇のグループでしょうね。」ケーも言った。
「まぁ、そうなの。」今度はメアリーが驚いた。
「それでね、そのポセイドンモドキが言うのよ。『ワレニシタガエ』って。」メアリーは怒って言った。
「それで、奴をやっつけてほしいんですか?」僕が言った。
「そうなのよ。この土地を蹂躙されたくなくてね。」メアリーはキッパリと言った。
「是非、協力をお願いしたいの。いいかしら?そしてね、この土地を閉鎖から解放してほしいのよ。」
「どのみち僕達も帰れないようですから、協力しますよ!」僕もキッパリと言った。
「私も協力は惜しみません!」ケーもハッキリと言った。
「わかりましたよ。それなら手を打ちましょう。」メアリーはニッコリ笑って続けたのだった。
「ポセイドンモドキを打ち滅ぼして頂戴ね。」
この作品は、どこにも投稿しておりません。
いわばおろしたての作品でしょうね。
最後まで載せますので、どうぞ楽しんでくださいね。
物語の初めは、こちらになります。
バーチャル学校vol3-01
物語の続きは、こちらになります。
バーチャル学校vol3-02
物語の続きは、こちらになります。
バーチャル学校vol3-03
物語の続きは、こちらになります。
バーチャル学校vol3-04
物語の続きは、こちらになります。
バーチャル学校vol3-05
物語の続きは、こちらになります。
バーチャル学校vol3-06
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バーチャル学校vol3-07
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バーチャル学校vol3-08
思い切って旅館に入ってみる。
そこには、カウンターの窓口があり、気のいいおばあちゃん然とした風体の老人がこっくりこっくりと眠りそうになっていた。
「あの、ちょっといいですか?」ケーが思い切って口にする。
「はい?」おばあちゃんはやっと起きたようで、まだ寝ぼけまなこだ。
「僕達道に迷っちゃって。」意を決して僕も言った。
「この辺は1本道なのに、たまに迷う人がいるのよね。なんでしょうねぇ。」おばあちゃんは疑問でいっぱいという顔をしている。
「それで、私達もう疲れてて。一晩泊めてもらえないでしょうか。」ケーが言った。
「はぁ、一晩ねぇ。」おばあちゃんは、考え中のようだ。
「僕達、少しならお金も持っています。」思い切って僕も言った。
「よろしくお願いします。」僕もケーも一礼してお願いした。
「まぁ、いいですよ。最近、お客さんが来なくてね。」おばあちゃんが立ち上がった。
「ありがとうございます。」僕もケーもまたしてもシンクロした。
「もう旅館は鍵をかけますね。話は奥で聞きましょう。」奥から鍵を取りだすと、玄関まで行き鍵をかけた。
旅館の玄関から直ぐ近くの応接間で、話をすることになった。
「私は、メアリーと言います。よろしくね。」開口一番、おばあちゃんが言った。
「僕はトゥルーといいます。よろしく。」僕はもう一度一礼した。
「私はケイトです。ケーと呼んでください。」ケーも一礼した。
「あなた方は、まだ未成年ね?まぁ、座っていいわよ。」メアリーはソファを勧めるとメアリーも座った。
「はい、その通りです。」僕も座った。
「その通りですね。」ケーも座った。
「あなた方はどうしてここに来ることになったの?」メアリーは言った。
「はい。僕達は臨海学校でこの島にやってきました。」僕はここから言わなきゃと思った。
「それで、学校のレクリエーション活動で肝試しをしていて。」ケーも説明した。思い出したのか、心なしか青ざめている。
「それから、道に迷ってしまってここにやってきました。」僕も説明した。
(大丈夫だよ、ケー。)僕はできるだけ優しく心の通信で言った。
「そうなの。難儀していたのね。」メアリーは安心させるようにニッコリ微笑んでいった。
「あなた方は、未成年ですものね。お金を取るわけにはいかないわね。」メアリー自身が納得するように言った。
「その代わり、頼みたいことがあるの。受けてくれるかしら?」メアリーは、困ったわね、という顔をして言った。
「僕達は…。」僕が言いかけていたら、遮るようにしてケーが言った。
「私たちもできることとできないことがあります。お話次第です。」ケーはキッパリと言った。
(ケー、ナイスファイト!サンクスだよ。)僕は励ますようにケーに言った。
(私も頑張るよ、トゥルー。)ケーも応えた。
「それはそうね。それならお話を聞いてね。」メアリーはまたもや困った、といような顔をして優しく言った。
「実を言うとね、ここら辺の土地は、閉鎖空間になっているのよ。」メアリーは言った。
「閉鎖空間?」僕とケーは同時に言った。
「そう。とある奴にね、閉じ込められているのよ。だから、電話も通じないのだけど、なぜか電気やガスは使えるのよ。」メアリーはどういうことかしらね、という風な顔をしていった。
「電話が通じない?」僕とケーは思わず顔を見合わせた。
そして、ケーはハッとしてスマホを取り出した。
「やっぱり。通じてないよ、トゥルー!」ケーはスマホを見るように言った。
ケーに言われて、僕もスマホを見てみた。スマホは電話が通じないし、インターネットも通じないようだった。
「ケーの言うとおりだね。どうしよ、後でワンダリング先生に言おうと思ったのに。」思わず僕はため息をついた。
「ワンダリング先生?」まぁ、と驚いた顔をしてメアリーは立ち上がると書棚から一冊の本を出してきた。
それは、『はじめての魔法』と書かれた本だった。
「懐かしいね!これ。」ケーは懐かしがって本を見た。
「これ、ワンダリング先生が書いた本だったよね?」僕も言った。
「ワンダリングと聞いて、ピンときたのよ。この本の著者ね?」ニコニコしてメアリーは言った。
「そうです。僕たちの学校のクラスの先生です。」僕は言った。世間は案外狭いのだろうか。
「そうなのね。実はね、私は少しだけ魔法が使えるのよ。」続けてメアリーは言った。
「それとね、あなた方の心の通信を聞いてね、これは!?と思ったのよ。」メアリーはニコニコしている。
「どういうことですか?」ケーが言った。
僕もケーも疑問だらけだ。
「あなた方は魔法使いでもあるのね?」メアリーは思い切って言ったようだった。
「いえ、私は魔法使いではないです。予知ができますが。」ケーもおばあちゃんに思い切って言った。
「僕は魔法使いです。実力はまだまだですけどね。」僕も言った。帰るために何でも言おうと思った。
「そうなのね。」と何度もメアリーは頷いていた。
「だからね、あなた方にならなんとかできるんじゃないかって、思ったのよ。」メアリーは考えながら言っているようだ。
「この閉鎖された土地はね、元々は普通の土地だったのよ。」目を細めて思い出しながら言っているようだ。
「だけど、数か月前に閉鎖されてしまったの。」メアリーは悲しいような怒りたいような複雑な顔をしていた。
「さっき、『とある奴』に閉じ込められた、と言っていましたね?」僕も思い出しながら言った。
「誰なんですか?それは。」ケーが言った。
「そいつはね、『ポセイドンモドキ』と名乗っていたわ。」メアリーが言った。
「ポセイドンモドキ!?」二人で同時に言った。
「ポセイドンなら、訊いたことがあります。」ケーが言った。
「とある神話の神様ですよ。ポセイドンというのは。」メアリーが言った。
「海の神様ですよね?」ケーが言った。
「正解ですよ。だけど『ポセイドンモドキ』は、神様じゃないの。妖怪なのよ。」メアリーは初めて」憎々しげに言った。
「奴が言っていたわ。俺は闇協会の妖怪である、と。何なのかしらね?」メアリーは怒っているようだった。
「闇協会?そう言っていたんですか?」ケーが言った。
「そうなのよ。あなた方は何か知っているの?」メアリーもまた疑問、という顔になった。
「僕たちの学校の資金源がかつて闇協会でした。」僕が言った。あの闇協会がここでも、か。
「魔法使いの現在は、隠れて光と闇に分かれて戦っています。その闇のグループでしょうね。」ケーも言った。
「まぁ、そうなの。」今度はメアリーが驚いた。
「それでね、そのポセイドンモドキが言うのよ。『ワレニシタガエ』って。」メアリーは怒って言った。
「それで、奴をやっつけてほしいんですか?」僕が言った。
「そうなのよ。この土地を蹂躙されたくなくてね。」メアリーはキッパリと言った。
「是非、協力をお願いしたいの。いいかしら?そしてね、この土地を閉鎖から解放してほしいのよ。」
「どのみち僕達も帰れないようですから、協力しますよ!」僕もキッパリと言った。
「私も協力は惜しみません!」ケーもハッキリと言った。
「わかりましたよ。それなら手を打ちましょう。」メアリーはニッコリ笑って続けたのだった。
「ポセイドンモドキを打ち滅ぼして頂戴ね。」
この作品は、どこにも投稿しておりません。
いわばおろしたての作品でしょうね。
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バーチャル学校vol3-01
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