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●詩、小説●
2024-10-20 18:25:38散歩
作 林柚希
俺、柴犬の芝丸
これから散歩に出かけるところ
ご主人様はオス、いや男の人だ
「芝丸、行くぞ!」
「ワン」(おう!)
いつもの住宅街の中を歩いて行く
早速、いつもの電信柱でもよおしてきた
電信柱におしっこをかける
「お前、まだ散歩始まったばかりだろ?はやくないか?」
「ワンッ」(だってなわばり、つけとかなくちゃ)
「しょうがないなぁ」
ご主人様は、おしっこの後から、水を流してしまう
あれじゃ~折角の縄張り表示が~
まぁ、しょうがない
「行こうか」
「ワン」(ほいな)
しばらく歩いていると、小さな公園の前に来た
そこには、いつもの通り
チワワを連れた、女の人がいた
「こんにちは」
「こんにちは」
「ワン」(こんにちは)
「いつも元気なわんこですね」
「元気すぎて困るんですよ~」
「そのチワワはおとなしそうですね」
「そうでもないんですよ~」
「そうなんですか?」
「結構いたずらっこなところがありまして…」
ご主人様達は、楽しそうに会話している
俺も話しかけてみようかな
「こんにちは」尻尾を振ってみる
「こんにちは」尻尾を振りかえしてくれた!
「最近、いつもこの辺にいるんだね」
「そうなの、最近この辺に引っ越してきてね」
「そうなんだ」
「新しい所へ行くのはちょっと怖いから、ちょっとずつしか散歩していないの」
「そっか、この辺は嫌なヤツもいないし平和なもんだよ」
「それなら安心して散歩できるわね、ありがとう」
「いやいや、いいんだ」
「ところで名前、なんていうの?俺は芝丸っていうんだけど」
「え、とね…きらら」
「きららちゃんか、かわいい名前だね」
「私はあんまり好きな名前じゃないんだよね~」
「そう?いい名前だと思うけどな」
「私も気に入っていたんだけどね、他の犬には、へんな名前って言われてからがっかりしていたの」
「そっか~」
「芝丸、そろそろ行くか」
「ワンッ」(え、もう?)
「それじゃまた、今度」
ご主人様は軽く会釈すると女の人も
「ではまた」
楽しそうに会釈を返して別れた
「お前も楽しそうだったなあ」
「ワンッ」(うん)
「俺もあの女性にまた会えるの楽しみなんだ~」
ご主人様もか~
ちょっとびっくりした
俺もきららちゃんに、また会いたいな~
夕闇が、いつの間にか迫ってきて
もう周囲も薄暗くなってきた
「芝丸、走って帰るか!」
「わん」(おう!)
こうして、家に帰ってたのだった
「おふくろ、ただいま!」
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