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●詩、小説●

2024-09-09 00:04:29

バーチャル学校vol2 12

作 林柚希

日曜日の朝だ。昨日、ワンダリング先生から、会議の終わった後、「これ、役に立つよ。」と渡された本は『上級魔法使いへの道』と書かれたものだった。
急いで読んだけれど、その後爆睡していて身についたかどうかよくわからない。

「おはよー。」ケーだ。可愛いパジャマ姿だ。
「おはよう。」僕はちょっと目を瞠って、でもちょっと恥ずかしくなって目を伏せた。
「朝ごはん何かなぁ。」ケーはお腹が空いているようで、僕の思惑など考えていないようだ。
「うちはいつもトーストだけど。ケーがいるから、お母さんは頑張るかもね。」僕は考えながら言った。
「そうなんだ。楽しみだね。」ニッコリ笑って、ケーは言った。
「ケーちゃん、トゥルー、ご飯にするわよ!」お母さんだ。
「はーい。」2人で返事すると、それぞれ着替えに戻った。」

さて、食事の後、僕とケーは紅茶を、お母さんはハーブティー、お父さんはコーヒーを飲みながら、思い思いにくつろいでいた。
ケーによると、ワンダリング先生から予知に関する本をまた渡されたそうだ。僕も本を渡された話をすると、興味深げに聞いていた。
それから、探検に必要な道具などの話をひとしきり話して、それぞれ部屋に戻り地下探検の準備に入った。

皆で学校のグラウンドの先の、森の出入口へテレポートしたら、ワンダリング先生が待っていた。
「おはよう。皆さん。」ワンダリング先生が片手をあげて言った。
「おはようございます。」これは、僕とケー。
「おはよう。」これはお父さんだ。
「おはよう。いい日よりですね。」これはお母さん。僕は、なんだか遠足気分だなぁと、思った。
「じゃ、行きましょうか。」ワンダリング先生が言った。
「トゥルーにケーちゃん。案内してくれ。」お父さんが言った。
「あなた、大丈夫かしらねぇ?」お母さんはちょっと不安になったのだろうか。
「大丈夫ですよ、トゥルーのお母さん。」お父さんが返事する前にケーが言った。
「大丈夫さ。」お父さんはゆっくりと言った。何か別のことも考えているようだと、僕は思った。

歩き出して、しばらくすると、僕とケーが落ちた大きな木に行き当たった。
「あ、あった。」僕が言った。
「トゥルー、ここだよね。」ケーが言った。
「そうだね。行こう、皆。」僕が言った。
そして、木をぐるっと回って虚を見つけるとロープを出して、虚の中に皆降りて行った。

そして、それぞれ光源を点けると、僕とケーが先頭に立ち、お父さんとお母さんが中、最後尾にワンダリング先生が立つ形で歩き出した。
「あ、そうそう。」ワンダリング先生が後ろから声をかけてきた。
「保存の呪文は、もうかけ終えたそうです。」
「そうか。」お父さんが短く答えた。
「奴を存分にぶちのめそう!」僕がしんがりになって叫ぶと、皆「おう!」と答えた。
意気揚々と歩いた。

しばらく進むと、あの、ドワーフ族のツリー村に到着した。
(リーブス、メープル。)僕が心の通信を開始した。
お父さんとお母さん、ワンダリング先生は魔法陣を張った。
(トゥルー!)リーブスが応えた。
(来たね。迎えに行くから村の入口で待っててね。)メープルだ。
「すごいわね~」これはお母さんだ。
「不思議なことに、光源があるんですね~。」ワンダリング先生が感心して言った。
「不思議な場所だね。」お父さんも興味深げに見ているようだ。

そして、待っている間に村の入り口にリーブスとメープルに会って、僕とケーで再会を喜び合った。それから、ワンダリング先生にリーブスとメープルを紹介した。

その後。ツリー村の巨木にある中くらいのサイズの家に皆を招いてもらって、テーブルを囲み会議を始めた。
「地下探検の会議を始めたいと思います。」ごほん、と咳を一つしてワンダリング先生が言った。
「まず、地下探検の情報が一つでもほしいです。リーブス君。」お父さんが言った。
「なんですか?」リーブスは一応用意してあるものがテーブルに載っている。
「この地下迷宮の地図があるってトゥルーから訊いたんだけどね。あるかい?」お父さんがわかっているが一応訊いた。
「はい。皆さんと別れた後、村人総出で会議を開き、地下探検はある程度しました。これがそうです。」と言って、テーブルの中央に地図を広げた。
地図には、僕とケー、リーブス、メープルと探検した地図に、もう少し書き加えてあった。
皆で覗くと北東の辿りつけなかった、もう一つの洞窟出入口に差し掛かる分岐点のもう一つの道、迷宮への道の周辺が書かれていた!
「…、だけど。」ケーが言いかけたけど、そうなんだよ。僕もそう思った。迷宮の中が真っ白だった。
「迷宮はさすがに行けませんでしたか?」お母さんが言った。
「そうだなんですよ。迷宮の出入り口にはオークが控えていまして。私達じゃ近づくことも出来なかったんです。」メープルがすまなそうに言った。
「それじゃ、仕方ないですよ。」ワンダリング先生が言った。
「トゥルーから訊いたんだけど、この村はお金か物々交換なんだってね。」お父さんが言った。
「この地図はどう物々交換するかい?」お父さんが続けて言った。
「いや、この地図のコピーは必要枚数、皆さんに差し上げます。」リーブスは言った。
「迷宮とオーク族が無くなるのであれば、これくらい当然ですよ。」リーブスは嬉しそうに言った。
「それから、迷宮に関する情報は何かあるかい?」ワンダリング先生が言った。
「いや、それが全くわからなくて。」またもやリーブスはすまなそうに答えた。
「迷宮は出入口が1つしかないのです。」メープルが言った。
「だから覗き込むようなことはできなかったのね?」お母さんだ。
「そうなんです。もっと情報を集められればよかったのですけれどね。」メープルが言った。
「わかりました。」ワンダリング先生は、仕方なさそうに言った。
「では、こちら側が知っている情報を整理しようと思います。」ワンダリング先生は、特にリーブスとメープルに聞いてほしいと続けた。
「まず、僕たちの世界と君たちの地底世界は時間と言うか時代がそもそも違います。」ワンダリング先生は2人を心配しながら言った。
「えっ!?」リーブスとメープルは同時に驚いた。
「どういうことですか?」リーブスが訊いた。
「この地底の上の世界にある、学校の校長の仲間が、時間の魔法をかけたのですよ。」ワンダリング先生は苦々しく言った。
「時間の魔法、ですか。」メープルは驚き過ぎて口に手を当てている。
「そうです。…、つまり僕たちの世界は、あなた方地底世界の未来にあたります。」ワンダリング先生は言いづらそうに言った。
「君達は未来の人なのかい?」リーブスも驚きを隠せないようだ。
「そうだよ。でも君達は、未来の話を訊かないでほしいんだ。」ワンダリング先生は言った。
「どうしてですか?知りたいじゃないですか。」メープルは当然のように言った。
「私たちが今後どうなるか、知っちゃいけないんですか?」メープルはちょっと怒りたいようだ。
「個人的な未来ならいいんだよ、訊いても。だけど、種族の未来の話は…。」ワンダリング先生もさすがに言葉を濁していた。
「僕達の種族の未来…。」リーブスは悪い予感がするのか、顔を渋面にしている。
「話はここまで。…君達にはすまないね。情報提供してもらっているのに。」お父さんが、話を切り上げるように、それでも優しく言った。
「はい。…、いえ、私達も協力してもらっている身ですから。そうだよね?リーブス。」メープルが苦しそうに言った。
「…、そうだね。メープル。」リーブスも仕方なさそうに言った。
「さて、他に情報提供できる存在はいますか?」周りの空気を払拭するように、ワンダリング先生が言った。
「いえ、僕達からはもうないです。」リーブスが答えた。
「僕達の側もない。そうですよね、先輩。」ワンダリング先生も言った。
「そうだね、今のところない、かな。」お父さんも頷いた。
「じゃ、これで、会議を終了したいと思います。」ワンダリング先生が言った。

この後、それぞれにお茶を提供してもらい、あたたかな会話になった。
正直、僕はホッとした。彼らの将来は言えなかった。
そして、地底迷宮探検の準備をしたのだった。



この作品は、どこにも投稿していません。
いわばおろしたての作品でしょうね。
最後まで載せますので、どうぞ楽しんでくださいね。

物語の初めは、こちらになります。
バーチャル学校vol2-01

物語の続きは、こちらになります。
バーチャル学校vol2-02

物語の続きは、こちらになります。
バーチャル学校vol2-03

物語の続きは、こちらになります。
バーチャル学校vol2-04

物語の続きは、こちらになります。
バーチャル学校vol2-05

物語の続きは、こちらになります。
バーチャル学校vol2-06

物語の続きは、こちらになります。
バーチャル学校vol2-07

物語の続きは、こちらになります。
バーチャル学校vol2-08

物語の続きは、こちらになります。
バーチャル学校vol2-09

物語の続きは、こちらになります。
バーチャル学校vol2-10

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バーチャル学校vol2-11

物語の続きは、こちらになります。
バーチャル学校vol2-12

物語の続きは、こちらになります。
バーチャル学校vol2-13

物語の続きは、こちらになります。
バーチャル学校vol2-14

物語の続きは、こちらになります。
バーチャル学校vol2-15

物語の終りは、こちらになります。
バーチャル学校vol2-16
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