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●詩、小説●

2024-08-28 04:54:09

バーチャル学校vol2 01

作 林柚希

校長先生が変わる大騒動が終わって半年、バーチャル学校は平穏無事でなんだかちょっと物足りない感じ。
今考えると面白かったなぁ。
ちょっと腹立たしかったり、怖かったりもしたけれど。

さて、今日も学校だ。
キーンコーンカーンコーン。
僕トゥルーは、ケーに学校で会いまた一緒になんかしたいね、と話していた。

「トゥルー!」
「わっぷ。」と僕。
また、ケーが尻尾で僕に巻き付いてくる。
「やめろってば~。」僕はそういうと、ケーに「おはよ。」と言った。
「おはよ。トゥルー。」ケーはニコニコだ。
「?何かいいことあった?」僕は、そう尋ねるとケーを見た。

ケー、最近ボーイッシュな恰好をたまにやめて、女の子らしい可愛い服装で学校に来る。
それがまた、妙に似合っていて、僕はちょっと何とも言えない気持ちになる。
同じクラスの男子の間でも「ケーちょっと可愛くなってね?」ってちょっとした話題だ。
どうしたんだろう。

「何も変わらないよ。」ケーはニコニコが変わらない。
「あ、そうそう。お昼休みにさ。ちょっと探検しない?」ケーが提案してきた。
「探検?どこどこ??そんな場所あったっけ?」僕の頭はクエスチョンだらけだ。
「えとね、学校のグラウンド突っ切った先にある森にさ、大きな木があるでしょ?」
ケーはちょっと頬に赤みがさしている。
「大きな木?そんなのあったっけ?」僕はよくわからない。
「ま、いいからさ、行ってみようよ!」
「そうだね。…ま、いっか。」ケーに押される形で僕は大きな木に行くことにした。

さて、お昼ご飯を食べ終えて、僕とケーはグラウンドの端にやってきた。
「学校管轄の森 立ち入り禁止」とある。

「行って大丈夫かな?」僕は、ちょっと気遅れしている。
「大丈夫だよ。さ、行こ。」ケーが促す。
ケーが先に歩いているが、ケーときたらなんだかリュック背負って登山気分?
ま、いっか。

歩き出して、数分。
森の中は、うっそうと茂っているが、空が見えないわけではないのでそれほど圧迫感はない。
そして、大人が5人くらいで抱えてひと回りするくらいの巨木に出会った。
木の裏側に行くと、ケーは「こっち座ろうよ!」と言ってきた。

裏側に来ると、ケーが小さなビニールシートを敷いて、ちょっとしたピクニック気分だ。
僕はなんだか嬉しくなった。
「さ、座ろ?」
一緒にケーと座ると、「学校にこんな巨木があるなんてね。」と僕は言った。

ケーは「そうだね」と短く言うと、「お菓子食べよ。」とチョコをくれた。
箱の中に四角いチョコが9個ほど入っている。そして粉がかかっていた。
「トリュフチョコだよ。美味しいよ。」ニコっと笑って差し出してくれた。

1つ取り出して、口にしてみる。とろける柔らかさだ。
「うま~い。」思わず僕はびっくりした。
「美味しいでしょ?トゥルーの為に選んだんだよ。」
ケーの何気ない口調に、僕はちょっとドキっとした。

僕はちょっとドギマギして、なんだか落ち着かなかったので、木にもたれかかることにした。
「ありがとね~、ケー。」と言って、頭の上に手を組んでもたれかかったら。

ケーが「あっ。そこはだめだよートゥルー。危ないっ。」ケーが慌てる。
僕は後ろ手に手を組んだまま、木の虚(うろ)に吸い込まれていったのだった。

ドサッ。
「痛ったー」僕は、すぐに起き上がれずに、体のふし節が痛くてびっくりした。
ドサッ。
「ギャー。」ケーが僕の上に落っこちてきた!
ケーはすぐにどくと、「ごめんトゥルー、大丈夫?」
「大丈夫だけどさ。なんでおっこちてくるの?」僕は体のあちこちを点検した。
上を見ると、穴は5メートルくらい上だ。
「いや、トゥルーのところに私も行こうと思って。」
ケーと僕は見合わせるとなんだか、クスクス笑ってしまった。

周囲を見ると、道が1本連なっていて先が暗くて見えない。

「どうしようか、トゥルー」ケーはなんだか苦笑いしている。
「そうだね、こっちの道を行ってみようか?」僕が答える。

僕たちは、そろそろと歩き出したのだった。



この作品は、どこにも投稿していません。
いわばおろしたての作品でしょうね。
最後まで載せますので、どうぞ楽しんでくださいね。

物語の初めは、こちらになります。
バーチャル学校vol2-01

物語の続きは、こちらになります。
バーチャル学校vol2-02

物語の続きは、こちらになります。
バーチャル学校vol2-03

物語の続きは、こちらになります。
バーチャル学校vol2-04

物語の続きは、こちらになります。
バーチャル学校vol2-05

物語の続きは、こちらになります。
バーチャル学校vol2-06

物語の続きは、こちらになります。
バーチャル学校vol2-07

物語の続きは、こちらになります。
バーチャル学校vol2-08

物語の続きは、こちらになります。
バーチャル学校vol2-09

物語の続きは、こちらになります。
バーチャル学校vol2-10

物語の続きは、こちらになります。
バーチャル学校vol2-11

物語の続きは、こちらになります。
バーチャル学校vol2-12

物語の続きは、こちらになります。
バーチャル学校vol2-13

物語の続きは、こちらになります。
バーチャル学校vol2-14

物語の続きは、こちらになります。
バーチャル学校vol2-15

物語の終りは、こちらになります。
バーチャル学校vol2-16
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