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●詩、小説●

2024-06-05 15:06:24

バーチャル学校vol1 13

作 林柚希

コンコン。ドアを叩く。
生徒指導室の前で、僕とケーはゴクン、と唾を飲み込んだ。
「どうぞ。」どこかで聞いた声だ。
「失礼します。」ケーが先に言って、ドアを開けた。

ドアを開けた先にいた人物を見て、僕は驚いた。
「スカイハイじゃん。」僕が驚いた声で言った。
「アイちゃん!どうしたの?」ケーが驚いている。

「あれ?トゥルー…だよな?」スカイハイが答えた。
「ケーちゃん。どうしたん?」アイちゃんも驚いている。

「僕たちも、生徒指導室に呼ばれたんだよ。」僕は生徒指導の担当者を睨みつけるように言った。
「そうなのよ。アイちゃん達は?」ケーが言った。

「僕たちもなんだよ。」スカイハイが苦々し気に言う。
「頭きちゃうよね!」アイちゃんは怒っているようだ。

スカイハイとアイちゃんも同じクラスの同級生で、たまに話すことがある程度だ。
スカイハイは、こう言ってなんだが外人のような顔立ちで女子に人気だったのを思い出した。
だから、いつの間にか、ヒーローみたいで『スカイハイ』とあだ名がついた。
アイちゃんも、可愛い顔立ちで、男子受けはなかなかだ。
だけど、アイちゃんは本名なのか、あだ名なのかは知らない。

ただ、スカイハイは片足が、義足なのだった。
アイちゃんは、左手だったかが義手だ。
でも、良い奴らだと思っている。

「一通りそろったところで。」キーキー声で聴きづらいなぁ。
「私たちは憂慮しているのだよ。」自分に陶酔しているように言う。
「君たちは揃いもそろって、ナニかね?不純異性交遊しているのかね?」目が楽しそうだ。

「私達は、そんな事をしていません。」ケーが言い放った。
「私たちは怒っていますとも!」アイちゃんが答えた。

「証拠も揃っているんだよ?」愉悦を含んだ、キーキー声で言う。

「証拠?」スカイハイが眉根を寄せた。
「それなら見せてもらいましょうか!」僕が言い放った!

「これは、君たちじゃないのかね?」ほんとにムカつく奴だ。
大きく引き伸ばした写真に、僕の家の前で、僕とケーが写った写真と、
同じくどこかの家の前に、スカイハイとアイちゃんが写っている写真だった。

「なんだこれ?」スカイハイが大声で言った。
「プライバシーという言葉を知らないんですか?あなた方は!」スカイハイの言葉に一同頷く。

「個人情報保護法違反してないといいですが!」僕はケーの言葉にちょっと驚いたけど、顔には出さなかった。

「え、いや、…だから。そんな話じゃなく、こんな時刻にナニをしているのかということだよ、君たち。」キーキー声で言った。

「僕たちは幼馴染ですよ。」スカイハイの言葉だ。
「そうそう。だから、私の家で一緒に帰りの遅い両親の代わりに留守番してもらっているんですよ。」アイちゃんが答えた。
あ、そういう事なんだ。僕は得心した。

「私たちも、親子ぐるみのお付き合いですよ。何が悪いんですか?」ケーも負けてない。
「そうですよ。いつも僕の母が一緒にいるのに、何が悪いんですか?」僕も言った。

形勢が不利と見たのか、何も言わなくなった。
考えて、また生徒指導の担当者はキーキー言った。
「君たちは学生だし、また身体障がい者でしょ?」うるさいなぁ。
「ナニかあってからじゃ遅いんだよ、君たち。」やっと、考えがまとまったのか、言い放つ。
「大人の話は、聞くものだよ?」キーキー声に、腹が立ってきた。

何を言ったらいいか、考えあぐねていた。
このままじゃ、悔しすぎる。

コンコン。ドアを叩く音だ。
誰だろう。
「失礼します。」味方だー!僕は嬉しくなった。
「誰ですか?呼んでもいないのに。」キーキーうるさい。

「ワンダリングです。」悠然と現れると、言った。
「なんの話ですかな?私の担当の学生相手に。」先生も、心なしかニラみつけている。

「いや、ですからね、彼らは不純異性交遊をしているんですよ。」また担当者は言っている。

「そんなこと、していません。」ケーが憤慨して言った。
「その不愉快な言い回しを止めてもらえませんか?」スカイハイが静かに言った。

「とまぁ、こんな調子で大人の話を聞こうとしないんですよ。」キーキー耳障りだ。

「大人の話を聞くように、諭してくれませんかね?」非常に嬉しそうだ。
できるもんならやってみ?といった感じだ。

「彼らは、私が預かった大事な生徒だし、信頼しています。」先生が言い放った。
「不純異性交遊なんてしていませんよ。僕が保証しています。」フンっと鼻を鳴らしそうな勢いで言った。
「大体、疑えばいいというものじゃないでしょ?先生も!」ワンダリング先生も内心、怒っているようだ。

「それは!…そうですが…。」キーキー非常に悔しそうだ。

「この話は、ここまで!」ワンダリング先生が言うと、皆を見て言った。
「さ、話は終わった、皆、気を付けて帰りなさい。」

「はーい。」僕たち生徒一同、ホッとしたのだった。


この作品は、とある編集部へ送った投稿作品です。
がんばって書いたら、どう考えても規定枚数を超えてしまいました。
だけど、熱意が伝わっていいかも、と送ってしまった作品です。
もちろん、選外にもれてしまいましたが。
この先も続きますので、楽しみにしていてください。

物語の初めは、こちらになります。
バーチャル学校 vol1 01

物語の続きは、こちらになります。
バーチャル学校 vol1 02

物語の続きは、こちらになります。
バーチャル学校 vol1 03

物語の続きは、こちらになります。
バーチャル学校 vol1 04

物語の続きは、こちらになります。
バーチャル学校 vol1 05

物語の続きは、こちらになります。
バーチャル学校 vol1 06

物語の続きは、こちらになります。
バーチャル学校 vol1 07

物語の続きは、こちらになります。
バーチャル学校 vol1 08

物語の続きは、こちらになります。
バーチャル学校 vol1 09

物語の続きは、こちらになります。
バーチャル学校 vol1 10

物語の続きは、こちらになります。
バーチャル学校 vol1 11

物語の続きは、こちらになります。
バーチャル学校 vol1 12

物語の続きは、こちらになります。
バーチャル学校 vol1 13

物語の続きは、こちらになります。
バーチャル学校 vol1 14

物語の終わりは、こちらになります。
バーチャル学校 vol1 15-17
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