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●詩、小説●

2024-05-29 00:16:58

バーチャル学校vol1 06

作 林柚希

「トゥルー、トゥルー。起きなさい。」呼び声に目が覚めた。
朝だろうか。
「お、母さん?」薄く目を覚ます僕。
トゥルーは、お母さんが起こしていることに気が付き、
「もう朝?」と大あくびした。
「朝にはまだ早いのよ。ごめんね早く起こして。」と母さん。
「どうしたの?」とトゥルー。また大あくびしている。
「あなたにね、会わせたい人がいるの。」と母さん。
「誰?僕もうちょっと寝てる…。」とまた眠りそうになる僕の耳を引っ張って、
母さんは、「それがね、担任の先生なのよ。起きなさい!」
「イタタ…。なんだって!?」とびっくりして目が覚めた僕。
「目が覚めたよ、母さん。なんだってこんな時間に!?」
疑問だらけの僕は、普段着に着替えると、母さんとダイニングに向かった。

「それにしても、いつの間にかねぇ。」父さんの声だ。
「はぁ、僕も命令では仕方ないから来ましたけどね。」あ!?担任の先生だ。
「子供に教えるのは大変だろ?」と、父さん。僕たちバカじゃないぞ!
「どんどん吸収する子供たちは見ていて楽しいですよ。」担任の先生は、楽しそうだ。
と、二人ともこちらに気が付いたようだ。
「おはよう」父さんだ。
「おはよう!トゥルー。」担任の先生だ。
「おはよう、父さん。」まず父さんが先。それから…。
「おはよう、ワンダリング先生。」と先生に挨拶したら。
父さんと母さんが、プッと吹いてね。
「お前そんな名乗り方しているの!?」と笑われていたけれど、
先生は「なかなかしゃれているでしょ?」とご満悦なようだ。

え!?あれ?
「先生の名前はワンダリングじゃないの?」と僕は聞いた。
「違うんだよ。こいつの本名は…。」と父さんが言いかけたところで、
「うぉっほん!ごほん、こほん。」と咳でごまかす先生。
「先輩、いいんですよ、ワンダリングで!!」と強調する。
「ワンダリング先生はね。」と言って笑いながら母さんが話が進まないので続ける。
「私たちが呼び出したのよ。」と母さん。
「え!?そうなの?なんで??」僕は疑問だらけだ。
「トゥルーに魔法を覚えさせようとした要件を聞こうと思ってね。」ふん、と鼻息をきかせる父さん。
なるほど。僕ももやもやと疑問に思っていたんだった。
「あ、それですか…。」とワンダリング先生。
「彼には魔法の才能があると確信したからですよ。」と先生は続けて、
「君、教務室で聞いていただろう?私の話を。」と言ってきた。
「僕はちょっとだけ、才能があるんじゃないか、と言っていたのを聞いただけです。」と僕。
「やっぱり!だからね、いずれ言うつもりだったけど、ご両親が魔法使いなんで話が早く済むよ。」と嬉しそうだ。
「君はどこまで知っているんだい?」とワンダリング先生。

「僕は、…」躊躇しているけれど、息を吸い込んで説明しだした。
「先生からもらった、魔法の本は読破しました。それで、魔法の実現に成功しました。」と僕。
「やはり!」とワンダリング先生。
「やっぱり私たちの子ね~。」と母さん
「そうか、お前は頭のいい子供だなぁ。」と頭を父さんはなでなでした。
「もう、父さん、僕は小さな子供じゃないんだ。ナデナデしなくていいよ。」とつっぱねる。でも内心は嬉しかった。

「それでね、母さんと父さんにお願いがあるんだけど。。」とお願いしてみた。
朝っぱらだったし、無理かと思ったら、きやすくオーケーを貰って。
「トゥルー、なに用事って。」大あくびをしながらケーが来た!
そう、僕はケーを呼び出してもらうよう、頼んだのだった。
「ケー、ワンダリング先生に聞くことができるよ!魔法の事で。」僕は言った。
ケーはいきなり水でもかけられたかのような顔をして。
「マジで!?」と僕の後ろを見る。
「ケー、おはよう。」と三人が言った。
ケーと僕はダイニングに戻った。

「トゥルーのお母さんとお父さん。おはようございます。」ケーはすまして挨拶する。
「いいのよ。」と母さん。
「やっぱり女の子はいいな~」と父さん。なんだよ、それ。
「ケーさんも魔法の本は読んだのかい?」とワンダリング先生。
「いや、私には残念ながら魔法の才能はないようです。」と腕を広げたボディーランゲージをしている。
「そうか。」と先生も残念そうだ。
「ケーさんも呼んだのは、何故だい?トゥルー。」と先生。
「僕たちは、自分なりに魔法について調べました。そうだよな、ケー?」と、ケーの方を見る。
ケーも、言ってないのに、昨日見せてくれたコピー用紙を取りだして。
「私は、インターネットを駆使して調べました。そうしたら魔法協会のことが載っていまして。」と言って、テーブルに魔法協会のサイトの印刷したコピー用紙を乗せた。
皆で見て。
「あ、僕の会社のページだ。」と父さん。ケーはびっくりして
「トゥルーの父さんて、魔法協会で働いているんですか!?」と聞いてくる。
「そうだよ、トゥルーにはあまり説明していなかったんだが…。」と父さんもコホンと咳をして。
「魔法協会で働いているよ。」とケーに説明した。ついでに母さんとの馴れ初めも言う。
なんか僕が赤くなっちゃったよ。なぜだか。
「こっちは、魔法使いの歴史が書かれたページです。」とコピーを皆に見せる。

「おお。よく調べたね~。」と先生だ。
「それでね、良い魔法使いと悪い魔法使いと別れた、ってあるんですけど、魔法協会とあと先生!どちらなんですか?」ケーはどうだ!と言わんばかりに問うた。
「私たちは…。」母さんが言いかけて「いや、僕が言う。」と父さん。
「僕たち『魔法協会』は白だよ。」と父さん。僕は、大いにほっとした。
「僕、ワンダリングも白だよ。」ケーは疑っているようだ。僕も疑問だ。父さんと母さんは、にこにこしている。
「先生。魂にかけて誓えますか?本当のことを言っていると!?」とケーは迫る。僕も同じ気持ちだ。
「魂?誓えるよ。」と先生、そして続けた。
「僕は、元々『魔法協会』で働いていたんだ。」と先生。
「そう、彼ワンダリング先生は僕の後輩でもあるんだ。」と父さん。
僕とケーはびっくりだ。母さんはにこにこしている。
「そう、なんですか?じゃ、なんで私たちの学校で今は働いているんですか?」とケーはまだ質問をぶつける。
僕もコクコクと頷く。
「『魔法協会』からね命令が下って、派遣されたんだよ。ぶっちゃけて言うと。」と先生。
これには、とうさんと母さんも驚いたようだ。父さんが思わず、
「なんだって?」と聞き返している。
「そうなんですよ。僕はね君たちの学校に不穏な空気があるようなので、要請を受けてね…。」と言いかけていたら。
「君、オブラートに包んでいないでハッキリと言ってくれ。」と父さん。皆、頷いている。
「ハッキリ言うとね、いるんだよ。悪い魔法使いが!学校に!!」と先生が言い放った。
「それでね、色々探りを入れるように言われたんだよ、僕は。」と先生。思わず聞き入る。
「だけどね、気配はするんだけど、しっぽを出さないんだよ。あいつらは狡猾だからね。」と先生。
「先生、これは知っていたんですか?」とケー。一枚のコピー用紙をテーブルに乗せた。皆で見ると先生は顔色を変えた!
「君これは…?」と先生。
「これも、インターネットで調べた学校のサイトのページです。見ていなかったのですか?」ケーはいぶかしんだ。
「いや、僕はインターネットはあまり使わないから。」と先生。
「今どきの子供はすごいね。」と先生は続ける。
「『闇協会』の名前が出ているとはね。あの学校でビンゴなのか!」と先生は独り言のようにつぶやいた。
「先輩、ぜひケーさんとトゥルー君と先輩達の力を貸してください。僕たちだけでは人数が足りな過ぎているような気がするんです。」
「子供たちに危ない真似はさせやくないんだがなぁ」と頭をかく父さん。僕は、ぎゅっとこぶしを思わず握りしめる。
「父さん、僕たちは子供かもしれない。だけど、学校の先生達を見ているのは僕たち生徒でもあるんだ。僕はやりたい!」と僕は言い放った。
「わ、私も。自分の学校のことを、…本当の事が知りたいです。よろしくお願いします。」とケーは頭を下げる。
「あなた…。」と心配げな母さん。父さんは、
「お前たちの気持ちはわかった。それなら、条件付きでオーケーを出そう。」父さんは、アゴをしごきながら言った。
「ワンダリング先生と僕たち夫婦に必ず報告する事。聞けるかい?」父さんは返した。僕は、
「了解。それならいいよ。ケーは?」と僕。
「私もそれでいいです。私もあまり危険な事は避けたいし。」とケー。
「君たちも魂に誓いたまえ。決して報告を怠らないと!」と父さん。
僕たちとワンダリング先生は魂に誓った!

「お、そうだ。」とワンダリング先生。
「これを渡しておこう。それからケーにもね。」とヘタなウインクをしてきた。
僕には「魔法の書 中級編」。
それからケーには「はじめての予言の仕方 初級編」を渡してきた。
ケーは驚いて、思わず「私の才能を知っていたんですか?」と聞いた。
「知っているよ。だってモニターの授業に表れていたからね。」先生はにこにこだ。
そして、「学校で会おう!」と僕たちは一旦解散したのだった。


この作品は、とある編集部へ送った投稿作品です。
がんばって書いたら、どう考えても規定枚数を超えてしまいました。
だけど、熱意が伝わっていいかも、と送ってしまった作品です。
もちろん、選外にもれてしまいましたが。
この先も続きますので、楽しみにしていてください。

物語の初めは、こちらになります。
バーチャル学校 vol1 01

物語の続きは、こちらになります。
バーチャル学校 vol1 02

物語の続きは、こちらになります。
バーチャル学校 vol1 03

物語の続きは、こちらになります。
バーチャル学校 vol1 04

物語の続きは、こちらになります。
バーチャル学校 vol1 05

物語の続きは、こちらになります。
バーチャル学校 vol1 06

物語の続きは、こちらになります。
バーチャル学校 vol1 07

物語の続きは、こちらになります。
バーチャル学校 vol1 08

物語の続きは、こちらになります。
バーチャル学校 vol1 09

物語の続きは、こちらになります。
バーチャル学校 vol1 10

物語の続きは、こちらになります。
バーチャル学校 vol1 11

物語の続きは、こちらになります。
バーチャル学校 vol1 12

物語の続きは、こちらになります。
バーチャル学校 vol1 13

物語の続きは、こちらになります。
バーチャル学校 vol1 14

物語の終わりは、こちらになります。
バーチャル学校 vol1 15-17
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