ブログで趣味でプログラミングからお料理まで呟いています。よろしくー。(^-^)/


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●詩、小説●

2024-05-25 00:06:13

バーチャル学校vol1 02

作 林柚希

図書室はあまり来ないので、勝手がよくわからない。
ケーは、慣れた様子で、図書カードをヒラヒラさせながら、近づいてきた。
「来れないと、ダメだよん。」
もう、いちいちカチンと来るなあ。
「ケーが持っているからいいんだよ。」
あ、いかん。
ボルテージが上がる。
「それで、そのカードで何を調べるの?」
ケーも悪いと思ったのか、声をひそめて喋りだした。
「もち、『魔法』に関して、だよ。」
1台の端末に2人でくると座った。
ケーは、カードを端末に差し込むと、カタカタとキーボードを叩く。
ID、パスワードを入力すると、バーチャル学校へようこそ、の文字が表示される。
検索画面に移って、そのものズバリ、『魔法』、と入力して、検索ボタンを押した。
検索結果は、魔法の物語の書籍が並んで表示された。
魔法に関する書籍は、…あ、あった。
『魔法大全』・魔法の辞書。
「あった!」2人とも声が揃った。
「あ、でも、これ『特別書籍』扱いだよ。」
ケーが、残念そうに呟く。
「特別書籍?」僕も、思わず呟く。
「ここに書いてあるんだけどね。」
コンコンと画面をケーが叩く。
「特別書籍は、窓口で申請して下さい、ってね。」
ケーは、更に声を潜めて、
「だって、コッソリ調べたいんでしょう?マズいって。」
「そうだな、どうしようか。」
「…何を調べているのかな?」
やべっ。あの先生だ。
僕がオタオタしそうになっていると。
「科学の本です、先生。」
ケーが、予め用意した別の検索結果画面を出した。
画面には、科学の本が並んでいる。
サンクス、ケー!
「君達、魔法には興味ないかい?」
務めてにこやかに話しかけてくる。
なんか、嘘くさいな。
僕は、いぶかしんだ。
「魔法なんて、実際にこの世にあるんですか?」
ケーは、ギクっとしていたが、先生は、あくまでにこやかに、
「実際にあるんだよ。念力があるだろう?あれに近い能力なんだよ。」
「へぇ〜。」ちょっと感心した。
「君、興味あるのかい?」先生は、にこやかなんだが。
「そうですね、ちょっとは。」
僕もヘタながら、顔をにこやかにして応対する。
「それなら。」と先生は、1冊の本を渡してきた。
「読んでみなさい。面白いから。」と去っていった。
残していった本をみると、『はじめての魔法』と書かれていた。
「絶対怪しいよ!」ケーも疑っているようだ。
「その本は、読まない方がいいよ。」本を手に取り、ケーが読む、と本を読もうとした。
「あ、あれ?」本をグイグイ開けようとするケー。
「ちょっと見せて。」本を受け取ると、表紙を見る。
本には、『はじめての魔法』の下にこう書かれていた。
『本よ開け、と呼びかけてね』僕は思わず呟く。
「本よ開け。」
ポンっと音がして最初のページが開いた!
隣のケーが、ヒュウ〜♪と口笛を鳴らす。
「よく、わかったね!?」ケーは、不思議そうだ。
「それがさ、ここにね。」僕は、本の表紙を見せて文字を指先で指し示す。
「呪文が書いてあるだろ?」どうだ、と言わんばかりだ。
「呪文?」ケーは、表紙をくまなく見ているが、
「どこにもないよ?」ケーは不思議に拍車がかかっているようだ。
もう一度、本をもらって見ると僕は、こう答えた。
「白い文字でね、『本よ開け、と呼びかけてね』って書いてあるよ。」
ケーも、表示を覗き込んでいる。
「凄いね、トゥルー!君もはれて魔法使いだね。」
羨ましそうな眼差しで僕を見る。
「よせって。まだ早いよ。」僕は照れてしまった。
「で、どうするの?」ケーが聞いてくる。
「まずは、この本を読破してみるよ。」僕は応えた。
「そうだね。」うなずくケー。
なんとなく、読みづらくて図書室を後にした。
多分、見ることができないケーの隣で読むのも、図書室の周囲の視線も気になったのだった。


この作品は、とある編集部へ送った投稿作品です。
がんばって書いたら、どう考えても規定枚数を超えてしまいました。
だけど、熱意が伝わっていいかも、と送ってしまった作品です。
もちろん、選外にもれてしまいましたが。
この先も続きますので、楽しみにしていてください。

物語の初めは、こちらになります。
バーチャル学校 vol1 01

物語の続きは、こちらになります。
バーチャル学校 vol1 02

物語の続きは、こちらになります。
バーチャル学校 vol1 03

物語の続きは、こちらになります。
バーチャル学校 vol1 04

物語の続きは、こちらになります。
バーチャル学校 vol1 05

物語の続きは、こちらになります。
バーチャル学校 vol1 06

物語の続きは、こちらになります。
バーチャル学校 vol1 07

物語の続きは、こちらになります。
バーチャル学校 vol1 08

物語の続きは、こちらになります。
バーチャル学校 vol1 09

物語の続きは、こちらになります。
バーチャル学校 vol1 10

物語の続きは、こちらになります。
バーチャル学校 vol1 11

物語の続きは、こちらになります。
バーチャル学校 vol1 12

物語の続きは、こちらになります。
バーチャル学校 vol1 13

物語の続きは、こちらになります。
バーチャル学校 vol1 14

物語の終わりは、こちらになります。
バーチャル学校 vol1 15-17
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