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詩、小説
2024-12-22 02:38:14 *バーチャル学校vol3 08*
作 林柚希
メアリーから宿泊する為の部屋に案内された。
そこは、10畳プラス6畳ほどの部屋で、布団は2組畳まれて置かれていた。
「メアリーさん、ありがとう。」僕がお礼を言った。
「メアリーさん、着替えはどういたらいいですか?」ケーはなんだか言いずらそうに話した。
「ホホ、押し入れに入っているわよ。」上機嫌でメアリーは返答した。
その後、二人で押し入れを確かめると、浴衣が二組入っていた。
どうやら、二人用の宿泊部屋のようだった。
僕はトイレで、ケーは部屋で浴衣に着替えると、どちらともなく話し始めた。
「皆、心配しているだろうね。」僕は、肝試しの事はなるべく言わないでおきたいと思った。
「そうだよね、肝試しで失踪なんて、シャレにもならないよね。」ケーは早速行ったので、僕は仕方ないという顔をしてしまった。
「うん?そうだね。ところでね、魔法で連絡がつくかやってみようと思って。」僕は何もしないよりマシだと思って言った。
「トゥルー、できるの!?だって閉鎖空間だって言われたのに。」ケーは信じられない、といった顔をした。
「やってみなければ何とも言えないけれどね。」僕は、またヘタなウィンクをした。
「それでね。お願いしたいことがあるんだ。」僕は魔法の手順を言うとケーは感心しつつ頷いて聞いてくれた。
さて、しばらくして。
「メアリーさんからもらってきたよ。」ケーはコピー用紙とペンを数本、テーブルの上に置いた。
「サンクス。…それでね、さっき話した人形なんだけど…。」そう言うと、僕はケーにコピー用紙に書くよう促した。
「了解。どれどれ。」ケーは器用に、ワンダリング先生と、僕の父さん、母さんを書き始めた。
更に時間が経ち、ケーはワンダリング先生と、僕の父さん、母さんを書き終えた。
「上手いもんだね。感心するよ。」
僕は、もう一枚に簡単な魔法陣を描き、その上に切り抜いた3人を置いた。
集中するための呪文を唱えた後、僕はこう言った。
「人形に命じる。僕の担任であるワンダリング先生、それから僕の父さん、母さんに繋ぎなさい。」
すると、人形の真ん中にスポットライトが当たったようになり、シュンと空間を通り抜ける音がした。僕にはわかるぞ。
僕は集中すると魔法陣に両手を置くようにケーに言った。
(…。ワンダリング先生。聞こえますか?)僕は何度もワンダリング先生に心の通信を繋いでみた。
(ワンダリングだ。…誰だい?)ワンダリング先生は訝しんでいるようだ。
(僕、トゥルーです。ケーもいます。)僕はかなり安堵した。
(ケーです。私もいます。)ケーも急いでいった。ケーも話しかけられるようにしてある。
(君達!?どこにいるんだい?探したけれどどこにも見つからなかったぞ。)ワンダリング先生はかなり驚いているようだ。
(僕達は、とある旅館にいます。肝試しで迷ってしまって。)僕は、一生懸命に話した。
(そうなのか。旅館!?…今地図を見ているんだが)意を決してワンダリング先生は言った。
(この島に旅館なんてないそうだ。おかしいな。)
(そうですか。僕達は相変わらず島にいると思います。)僕は説明をどうしようかと悩んだ。
(この旅館の一帯は閉鎖空間になっているんだそうです。)ケーが説明してくれた。
(閉鎖空間だって?なんでまた!)ワンダリング先生はわけがわからないと言った風だ。
(闇協会の妖怪で『ポセイドンモドキ』というのがいて、そいつがこの一帯を閉鎖しているそうです。)ケーが説明を続けてくれた。
(閉鎖されているので、電話もインターネットも通じないんです。)僕も言った。
(それで、閉鎖空間か。やつらめ。)ワンダリング先生はちょっと怒っているようだ。
(それでまた闇協会なんですよ。)ケーが言った。
(…なるほど、また闇協会か。『ポセイドンモドキ』ね。聞いたことないな。)それでも、僕達が見つかってワンダリング先生はちょっと落ち着いたようだ。
(それで、お願いがあるんですけどね。僕の父さんと母さんにも通信を繋いでくれませんか?)僕が言った。
(大丈夫。黙って聞いているよ。そうですよね、先輩とトゥルー君のお母さん。)ワンダリング先生が真面目に言った。
(聞いているよ。トゥルー、心配したぞ。)僕の父さんだ。それでも、僕の声を聞いて安心したようだ。
(私も安心したわよ。旅館なんてお金はあるの?)僕の母さんはまだ心配しているようだ。
(それが、トゥルーのお母さん。『ポセイドンモドキ』をやっつけたら代金はいらないと言われたんです。)
(ちょっと横合いから失礼しますよ。私はメアリーという者でしてね。旅館の主をしています。)メアリーが入ってきた。
(メアリーさん。すみませんが、トゥルー君とケーさんをよろしくお願いします。)ワンダリング先生だ。
(わかりましたよ。私もね、この一帯の閉鎖空間をなんとかしてもらおうと思っているのでね。お代はいいんですよ。)
メアリーが嬉しそうに言った。
(息子とケーさんがお世話になります。)母さんだ。ちょっと溜飲が下がったと言った感じだ。
(今回二人がお世話になります。)父さんだ。父さんはきっとペコっとお辞儀をしているに違いない。
(大丈夫。二人ともしっかりしているようだから、私も安心していますよ。)メアリーはそう言った。
(それでは、私は下がりますから。でも聞いていますよ。)メアリーはそう言うと話さなくなった。
(それでね、私もお願いがあります。)ケーが言った。心なしか寂しそうだ。
(なんだい?)ワンダリング先生は、何でも言ってくれ、と続けて言った。
(私もお父さんとお母さんに私が無事だと伝えてほしいんです。)ケーは言った。
(そうだな。…ケーさんのお父さんとお母さんにも伝えるよ。)ワンダリング先生は、任せろと言った風だ。
(本当は直接話したいけれど、それは難しいですよね?)ケーは言わずにはおれなかったようだ。
(ケーさんのご両親には魔法の話はしていないんだよ。普通の人達でもあるしね。)ワンダリング先生は言った。
(そうですか。)ケーはがっかりしたようだ。
(まぁ、後で電話で話しておくから心配することはないよ。)ワンダリング先生は穏やかに言った。
(わかりました。)僕とケーは同時に言った。
(とりあえず、今日は旅館に泊まります。)僕は続けて言った。
(目下のところは『ポセイドンモドキ』ですけど、調べてもらってもいいですか?)
(わかった。調べておこう。がんばってくれ。)ワンダリング先生だ。
(ワハハ。ミツケタゾ!)ガサガサした甲高い声が響いた!
(誰だ!)僕は叫んだ。
(俺は『ポセイドンモドキ』ダ。ドウダ、ビックリシタカ。)ムダに偉そうなヤツだな。
(『ポセイドンモドキ』だって?)皆同時に叫んだ。一同、驚いている。
(ヘイサクウカンデ、ツウシンシテイルヤツがイルカラ、シラベテイタゾ)
(だからどうした。閉鎖を解け!)ワンダリング先生だ。こんな時頼もしい。
(イヤダネ。ドウシテモナラ、ワガシロにコイ!)ポセイドンモドキだ。なんだか気持ち悪い奴だな。
(それは、どこにあるんだ!乗り込んでやる!)城だって!?僕は急いで言った。
(シロハ、ウミノナカニ、カマエテイル。コレルカナ?)ワハハとおかしくもないのに笑っている。
(行ってやろうじゃないの!待ってなさいよ!)ケーはカチンとキタらしい。僕もだ。
(マッテイルゾ)そう言うと、ポセイドンモドキは、通信を切っていった。
(トゥルーにケーさん!がんばってくれ!)父さんだ。励ましてくれてる。
(トゥルーにケーちゃん。頑張ってね。)母さんだ、ホッとするなぁ。
(ワンダリング先生にトゥルーのお父さん、お母さん。ありがとうございます。)ケーは嬉しいそうに言った。
(ワンダリング先生、父さん、母さん。頑張るよ!)僕は締めに言った。
(それじゃ、オヤスミ。)こう言うとケー、ワンダリング先生、父さん、母さんの順に、おやすみなさい、と言って心の通信を切った。
この作品は、どこにも投稿していません。
いわばおろしたての作品でしょうね。
最後まで載せますので、どうぞ楽しんでくださいね。
物語の初めは、こちらになります。
バーチャル学校vol3-01
物語の続きは、こちらになります。
バーチャル学校vol3-02
物語の続きは、こちらになります。
バーチャル学校vol3-03
物語の続きは、こちらになります。
バーチャル学校vol3-04
物語の続きは、こちらになります。
バーチャル学校vol3-05
物語の続きは、こちらになります。
バーチャル学校vol3-06
物語の続きは、こちらになります。
バーチャル学校vol3-07
物語の続きは、こちらになります。
バーチャル学校vol3-08
2024-12-22 02:22:29
*バーチャル学校vol3 07*メアリーから宿泊する為の部屋に案内された。
そこは、10畳プラス6畳ほどの部屋で、布団は2組畳まれて置かれていた。
「メアリーさん、ありがとう。」僕がお礼を言った。
「メアリーさん、着替えはどういたらいいですか?」ケーはなんだか言いずらそうに話した。
「ホホ、押し入れに入っているわよ。」上機嫌でメアリーは返答した。
その後、二人で押し入れを確かめると、浴衣が二組入っていた。
どうやら、二人用の宿泊部屋のようだった。
僕はトイレで、ケーは部屋で浴衣に着替えると、どちらともなく話し始めた。
「皆、心配しているだろうね。」僕は、肝試しの事はなるべく言わないでおきたいと思った。
「そうだよね、肝試しで失踪なんて、シャレにもならないよね。」ケーは早速行ったので、僕は仕方ないという顔をしてしまった。
「うん?そうだね。ところでね、魔法で連絡がつくかやってみようと思って。」僕は何もしないよりマシだと思って言った。
「トゥルー、できるの!?だって閉鎖空間だって言われたのに。」ケーは信じられない、といった顔をした。
「やってみなければ何とも言えないけれどね。」僕は、またヘタなウィンクをした。
「それでね。お願いしたいことがあるんだ。」僕は魔法の手順を言うとケーは感心しつつ頷いて聞いてくれた。
さて、しばらくして。
「メアリーさんからもらってきたよ。」ケーはコピー用紙とペンを数本、テーブルの上に置いた。
「サンクス。…それでね、さっき話した人形なんだけど…。」そう言うと、僕はケーにコピー用紙に書くよう促した。
「了解。どれどれ。」ケーは器用に、ワンダリング先生と、僕の父さん、母さんを書き始めた。
更に時間が経ち、ケーはワンダリング先生と、僕の父さん、母さんを書き終えた。
「上手いもんだね。感心するよ。」
僕は、もう一枚に簡単な魔法陣を描き、その上に切り抜いた3人を置いた。
集中するための呪文を唱えた後、僕はこう言った。
「人形に命じる。僕の担任であるワンダリング先生、それから僕の父さん、母さんに繋ぎなさい。」
すると、人形の真ん中にスポットライトが当たったようになり、シュンと空間を通り抜ける音がした。僕にはわかるぞ。
僕は集中すると魔法陣に両手を置くようにケーに言った。
(…。ワンダリング先生。聞こえますか?)僕は何度もワンダリング先生に心の通信を繋いでみた。
(ワンダリングだ。…誰だい?)ワンダリング先生は訝しんでいるようだ。
(僕、トゥルーです。ケーもいます。)僕はかなり安堵した。
(ケーです。私もいます。)ケーも急いでいった。ケーも話しかけられるようにしてある。
(君達!?どこにいるんだい?探したけれどどこにも見つからなかったぞ。)ワンダリング先生はかなり驚いているようだ。
(僕達は、とある旅館にいます。肝試しで迷ってしまって。)僕は、一生懸命に話した。
(そうなのか。旅館!?…今地図を見ているんだが)意を決してワンダリング先生は言った。
(この島に旅館なんてないそうだ。おかしいな。)
(そうですか。僕達は相変わらず島にいると思います。)僕は説明をどうしようかと悩んだ。
(この旅館の一帯は閉鎖空間になっているんだそうです。)ケーが説明してくれた。
(閉鎖空間だって?なんでまた!)ワンダリング先生はわけがわからないと言った風だ。
(闇協会の妖怪で『ポセイドンモドキ』というのがいて、そいつがこの一帯を閉鎖しているそうです。)ケーが説明を続けてくれた。
(閉鎖されているので、電話もインターネットも通じないんです。)僕も言った。
(それで、閉鎖空間か。やつらめ。)ワンダリング先生はちょっと怒っているようだ。
(それでまた闇協会なんですよ。)ケーが言った。
(…なるほど、また闇協会か。『ポセイドンモドキ』ね。聞いたことないな。)それでも、僕達が見つかってワンダリング先生はちょっと落ち着いたようだ。
(それで、お願いがあるんですけどね。僕の父さんと母さんにも通信を繋いでくれませんか?)僕が言った。
(大丈夫。黙って聞いているよ。そうですよね、先輩とトゥルー君のお母さん。)ワンダリング先生が真面目に言った。
(聞いているよ。トゥルー、心配したぞ。)僕の父さんだ。それでも、僕の声を聞いて安心したようだ。
(私も安心したわよ。旅館なんてお金はあるの?)僕の母さんはまだ心配しているようだ。
(それが、トゥルーのお母さん。『ポセイドンモドキ』をやっつけたら代金はいらないと言われたんです。)
(ちょっと横合いから失礼しますよ。私はメアリーという者でしてね。旅館の主をしています。)メアリーが入ってきた。
(メアリーさん。すみませんが、トゥルー君とケーさんをよろしくお願いします。)ワンダリング先生だ。
(わかりましたよ。私もね、この一帯の閉鎖空間をなんとかしてもらおうと思っているのでね。お代はいいんですよ。)
メアリーが嬉しそうに言った。
(息子とケーさんがお世話になります。)母さんだ。ちょっと溜飲が下がったと言った感じだ。
(今回二人がお世話になります。)父さんだ。父さんはきっとペコっとお辞儀をしているに違いない。
(大丈夫。二人ともしっかりしているようだから、私も安心していますよ。)メアリーはそう言った。
(それでは、私は下がりますから。でも聞いていますよ。)メアリーはそう言うと話さなくなった。
(それでね、私もお願いがあります。)ケーが言った。心なしか寂しそうだ。
(なんだい?)ワンダリング先生は、何でも言ってくれ、と続けて言った。
(私もお父さんとお母さんに私が無事だと伝えてほしいんです。)ケーは言った。
(そうだな。…ケーさんのお父さんとお母さんにも伝えるよ。)ワンダリング先生は、任せろと言った風だ。
(本当は直接話したいけれど、それは難しいですよね?)ケーは言わずにはおれなかったようだ。
(ケーさんのご両親には魔法の話はしていないんだよ。普通の人達でもあるしね。)ワンダリング先生は言った。
(そうですか。)ケーはがっかりしたようだ。
(まぁ、後で電話で話しておくから心配することはないよ。)ワンダリング先生は穏やかに言った。
(わかりました。)僕とケーは同時に言った。
(とりあえず、今日は旅館に泊まります。)僕は続けて言った。
(目下のところは『ポセイドンモドキ』ですけど、調べてもらってもいいですか?)
(わかった。調べておこう。がんばってくれ。)ワンダリング先生だ。
(ワハハ。ミツケタゾ!)ガサガサした甲高い声が響いた!
(誰だ!)僕は叫んだ。
(俺は『ポセイドンモドキ』ダ。ドウダ、ビックリシタカ。)ムダに偉そうなヤツだな。
(『ポセイドンモドキ』だって?)皆同時に叫んだ。一同、驚いている。
(ヘイサクウカンデ、ツウシンシテイルヤツがイルカラ、シラベテイタゾ)
(だからどうした。閉鎖を解け!)ワンダリング先生だ。こんな時頼もしい。
(イヤダネ。ドウシテモナラ、ワガシロにコイ!)ポセイドンモドキだ。なんだか気持ち悪い奴だな。
(それは、どこにあるんだ!乗り込んでやる!)城だって!?僕は急いで言った。
(シロハ、ウミノナカニ、カマエテイル。コレルカナ?)ワハハとおかしくもないのに笑っている。
(行ってやろうじゃないの!待ってなさいよ!)ケーはカチンとキタらしい。僕もだ。
(マッテイルゾ)そう言うと、ポセイドンモドキは、通信を切っていった。
(トゥルーにケーさん!がんばってくれ!)父さんだ。励ましてくれてる。
(トゥルーにケーちゃん。頑張ってね。)母さんだ、ホッとするなぁ。
(ワンダリング先生にトゥルーのお父さん、お母さん。ありがとうございます。)ケーは嬉しいそうに言った。
(ワンダリング先生、父さん、母さん。頑張るよ!)僕は締めに言った。
(それじゃ、オヤスミ。)こう言うとケー、ワンダリング先生、父さん、母さんの順に、おやすみなさい、と言って心の通信を切った。
この作品は、どこにも投稿していません。
いわばおろしたての作品でしょうね。
最後まで載せますので、どうぞ楽しんでくださいね。
物語の初めは、こちらになります。
バーチャル学校vol3-01
物語の続きは、こちらになります。
バーチャル学校vol3-02
物語の続きは、こちらになります。
バーチャル学校vol3-03
物語の続きは、こちらになります。
バーチャル学校vol3-04
物語の続きは、こちらになります。
バーチャル学校vol3-05
物語の続きは、こちらになります。
バーチャル学校vol3-06
物語の続きは、こちらになります。
バーチャル学校vol3-07
物語の続きは、こちらになります。
バーチャル学校vol3-08
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作 林柚希
思い切って旅館に入ってみる。
そこには、カウンターの窓口があり、気のいいおばあちゃん然とした風体の老人がこっくりこっくりと眠りそうになっていた。
「あの、ちょっといいですか?」ケーが思い切って口にする。
「はい?」おばあちゃんはやっと起きたようで、まだ寝ぼけまなこだ。
「僕達道に迷っちゃって。」意を決して僕も言った。
「この辺は1本道なのに、たまに迷う人がいるのよね。なんでしょうねぇ。」おばあちゃんは疑問でいっぱいという顔をしている。
「それで、私達もう疲れてて。一晩泊めてもらえないでしょうか。」ケーが言った。
「はぁ、一晩ねぇ。」おばあちゃんは、考え中のようだ。
「僕達、少しならお金も持っています。」思い切って僕も言った。
「よろしくお願いします。」僕もケーも一礼してお願いした。
「まぁ、いいですよ。最近、お客さんが来なくてね。」おばあちゃんが立ち上がった。
「ありがとうございます。」僕もケーもまたしてもシンクロした。
「もう旅館は鍵をかけますね。話は奥で聞きましょう。」奥から鍵を取りだすと、玄関まで行き鍵をかけた。
旅館の玄関から直ぐ近くの応接間で、話をすることになった。
「私は、メアリーと言います。よろしくね。」開口一番、おばあちゃんが言った。
「僕はトゥルーといいます。よろしく。」僕はもう一度一礼した。
「私はケイトです。ケーと呼んでください。」ケーも一礼した。
「あなた方は、まだ未成年ね?まぁ、座っていいわよ。」メアリーはソファを勧めるとメアリーも座った。
「はい、その通りです。」僕も座った。
「その通りですね。」ケーも座った。
「あなた方はどうしてここに来ることになったの?」メアリーは言った。
「はい。僕達は臨海学校でこの島にやってきました。」僕はここから言わなきゃと思った。
「それで、学校のレクリエーション活動で肝試しをしていて。」ケーも説明した。思い出したのか、心なしか青ざめている。
「それから、道に迷ってしまってここにやってきました。」僕も説明した。
(大丈夫だよ、ケー。)僕はできるだけ優しく心の通信で言った。
「そうなの。難儀していたのね。」メアリーは安心させるようにニッコリ微笑んでいった。
「あなた方は、未成年ですものね。お金を取るわけにはいかないわね。」メアリー自身が納得するように言った。
「その代わり、頼みたいことがあるの。受けてくれるかしら?」メアリーは、困ったわね、という顔をして言った。
「僕達は…。」僕が言いかけていたら、遮るようにしてケーが言った。
「私たちもできることとできないことがあります。お話次第です。」ケーはキッパリと言った。
(ケー、ナイスファイト!サンクスだよ。)僕は励ますようにケーに言った。
(私も頑張るよ、トゥルー。)ケーも応えた。
「それはそうね。それならお話を聞いてね。」メアリーはまたもや困った、といような顔をして優しく言った。
「実を言うとね、ここら辺の土地は、閉鎖空間になっているのよ。」メアリーは言った。
「閉鎖空間?」僕とケーは同時に言った。
「そう。とある奴にね、閉じ込められているのよ。だから、電話も通じないのだけど、なぜか電気やガスは使えるのよ。」メアリーはどういうことかしらね、という風な顔をしていった。
「電話が通じない?」僕とケーは思わず顔を見合わせた。
そして、ケーはハッとしてスマホを取り出した。
「やっぱり。通じてないよ、トゥルー!」ケーはスマホを見るように言った。
ケーに言われて、僕もスマホを見てみた。スマホは電話が通じないし、インターネットも通じないようだった。
「ケーの言うとおりだね。どうしよ、後でワンダリング先生に言おうと思ったのに。」思わず僕はため息をついた。
「ワンダリング先生?」まぁ、と驚いた顔をしてメアリーは立ち上がると書棚から一冊の本を出してきた。
それは、『はじめての魔法』と書かれた本だった。
「懐かしいね!これ。」ケーは懐かしがって本を見た。
「これ、ワンダリング先生が書いた本だったよね?」僕も言った。
「ワンダリングと聞いて、ピンときたのよ。この本の著者ね?」ニコニコしてメアリーは言った。
「そうです。僕たちの学校のクラスの先生です。」僕は言った。世間は案外狭いのだろうか。
「そうなのね。実はね、私は少しだけ魔法が使えるのよ。」続けてメアリーは言った。
「それとね、あなた方の心の通信を聞いてね、これは!?と思ったのよ。」メアリーはニコニコしている。
「どういうことですか?」ケーが言った。
僕もケーも疑問だらけだ。
「あなた方は魔法使いでもあるのね?」メアリーは思い切って言ったようだった。
「いえ、私は魔法使いではないです。予知ができますが。」ケーもおばあちゃんに思い切って言った。
「僕は魔法使いです。実力はまだまだですけどね。」僕も言った。帰るために何でも言おうと思った。
「そうなのね。」と何度もメアリーは頷いていた。
「だからね、あなた方にならなんとかできるんじゃないかって、思ったのよ。」メアリーは考えながら言っているようだ。
「この閉鎖された土地はね、元々は普通の土地だったのよ。」目を細めて思い出しながら言っているようだ。
「だけど、数か月前に閉鎖されてしまったの。」メアリーは悲しいような怒りたいような複雑な顔をしていた。
「さっき、『とある奴』に閉じ込められた、と言っていましたね?」僕も思い出しながら言った。
「誰なんですか?それは。」ケーが言った。
「そいつはね、『ポセイドンモドキ』と名乗っていたわ。」メアリーが言った。
「ポセイドンモドキ!?」二人で同時に言った。
「ポセイドンなら、訊いたことがあります。」ケーが言った。
「とある神話の神様ですよ。ポセイドンというのは。」メアリーが言った。
「海の神様ですよね?」ケーが言った。
「正解ですよ。だけど『ポセイドンモドキ』は、神様じゃないの。妖怪なのよ。」メアリーは初めて」憎々しげに言った。
「奴が言っていたわ。俺は闇協会の妖怪である、と。何なのかしらね?」メアリーは怒っているようだった。
「闇協会?そう言っていたんですか?」ケーが言った。
「そうなのよ。あなた方は何か知っているの?」メアリーもまた疑問、という顔になった。
「僕たちの学校の資金源がかつて闇協会でした。」僕が言った。あの闇協会がここでも、か。
「魔法使いの現在は、隠れて光と闇に分かれて戦っています。その闇のグループでしょうね。」ケーも言った。
「まぁ、そうなの。」今度はメアリーが驚いた。
「それでね、そのポセイドンモドキが言うのよ。『ワレニシタガエ』って。」メアリーは怒って言った。
「それで、奴をやっつけてほしいんですか?」僕が言った。
「そうなのよ。この土地を蹂躙されたくなくてね。」メアリーはキッパリと言った。
「是非、協力をお願いしたいの。いいかしら?そしてね、この土地を閉鎖から解放してほしいのよ。」
「どのみち僕達も帰れないようですから、協力しますよ!」僕もキッパリと言った。
「私も協力は惜しみません!」ケーもハッキリと言った。
「わかりましたよ。それなら手を打ちましょう。」メアリーはニッコリ笑って続けたのだった。
「ポセイドンモドキを打ち滅ぼして頂戴ね。」
この作品は、どこにも投稿しておりません。
いわばおろしたての作品でしょうね。
最後まで載せますので、どうぞ楽しんでくださいね。
物語の初めは、こちらになります。
バーチャル学校vol3-01
物語の続きは、こちらになります。
バーチャル学校vol3-02
物語の続きは、こちらになります。
バーチャル学校vol3-03
物語の続きは、こちらになります。
バーチャル学校vol3-04
物語の続きは、こちらになります。
バーチャル学校vol3-05
物語の続きは、こちらになります。
バーチャル学校vol3-06
物語の続きは、こちらになります。
バーチャル学校vol3-07
物語の続きは、こちらになります。
バーチャル学校vol3-08
思い切って旅館に入ってみる。
そこには、カウンターの窓口があり、気のいいおばあちゃん然とした風体の老人がこっくりこっくりと眠りそうになっていた。
「あの、ちょっといいですか?」ケーが思い切って口にする。
「はい?」おばあちゃんはやっと起きたようで、まだ寝ぼけまなこだ。
「僕達道に迷っちゃって。」意を決して僕も言った。
「この辺は1本道なのに、たまに迷う人がいるのよね。なんでしょうねぇ。」おばあちゃんは疑問でいっぱいという顔をしている。
「それで、私達もう疲れてて。一晩泊めてもらえないでしょうか。」ケーが言った。
「はぁ、一晩ねぇ。」おばあちゃんは、考え中のようだ。
「僕達、少しならお金も持っています。」思い切って僕も言った。
「よろしくお願いします。」僕もケーも一礼してお願いした。
「まぁ、いいですよ。最近、お客さんが来なくてね。」おばあちゃんが立ち上がった。
「ありがとうございます。」僕もケーもまたしてもシンクロした。
「もう旅館は鍵をかけますね。話は奥で聞きましょう。」奥から鍵を取りだすと、玄関まで行き鍵をかけた。
旅館の玄関から直ぐ近くの応接間で、話をすることになった。
「私は、メアリーと言います。よろしくね。」開口一番、おばあちゃんが言った。
「僕はトゥルーといいます。よろしく。」僕はもう一度一礼した。
「私はケイトです。ケーと呼んでください。」ケーも一礼した。
「あなた方は、まだ未成年ね?まぁ、座っていいわよ。」メアリーはソファを勧めるとメアリーも座った。
「はい、その通りです。」僕も座った。
「その通りですね。」ケーも座った。
「あなた方はどうしてここに来ることになったの?」メアリーは言った。
「はい。僕達は臨海学校でこの島にやってきました。」僕はここから言わなきゃと思った。
「それで、学校のレクリエーション活動で肝試しをしていて。」ケーも説明した。思い出したのか、心なしか青ざめている。
「それから、道に迷ってしまってここにやってきました。」僕も説明した。
(大丈夫だよ、ケー。)僕はできるだけ優しく心の通信で言った。
「そうなの。難儀していたのね。」メアリーは安心させるようにニッコリ微笑んでいった。
「あなた方は、未成年ですものね。お金を取るわけにはいかないわね。」メアリー自身が納得するように言った。
「その代わり、頼みたいことがあるの。受けてくれるかしら?」メアリーは、困ったわね、という顔をして言った。
「僕達は…。」僕が言いかけていたら、遮るようにしてケーが言った。
「私たちもできることとできないことがあります。お話次第です。」ケーはキッパリと言った。
(ケー、ナイスファイト!サンクスだよ。)僕は励ますようにケーに言った。
(私も頑張るよ、トゥルー。)ケーも応えた。
「それはそうね。それならお話を聞いてね。」メアリーはまたもや困った、といような顔をして優しく言った。
「実を言うとね、ここら辺の土地は、閉鎖空間になっているのよ。」メアリーは言った。
「閉鎖空間?」僕とケーは同時に言った。
「そう。とある奴にね、閉じ込められているのよ。だから、電話も通じないのだけど、なぜか電気やガスは使えるのよ。」メアリーはどういうことかしらね、という風な顔をしていった。
「電話が通じない?」僕とケーは思わず顔を見合わせた。
そして、ケーはハッとしてスマホを取り出した。
「やっぱり。通じてないよ、トゥルー!」ケーはスマホを見るように言った。
ケーに言われて、僕もスマホを見てみた。スマホは電話が通じないし、インターネットも通じないようだった。
「ケーの言うとおりだね。どうしよ、後でワンダリング先生に言おうと思ったのに。」思わず僕はため息をついた。
「ワンダリング先生?」まぁ、と驚いた顔をしてメアリーは立ち上がると書棚から一冊の本を出してきた。
それは、『はじめての魔法』と書かれた本だった。
「懐かしいね!これ。」ケーは懐かしがって本を見た。
「これ、ワンダリング先生が書いた本だったよね?」僕も言った。
「ワンダリングと聞いて、ピンときたのよ。この本の著者ね?」ニコニコしてメアリーは言った。
「そうです。僕たちの学校のクラスの先生です。」僕は言った。世間は案外狭いのだろうか。
「そうなのね。実はね、私は少しだけ魔法が使えるのよ。」続けてメアリーは言った。
「それとね、あなた方の心の通信を聞いてね、これは!?と思ったのよ。」メアリーはニコニコしている。
「どういうことですか?」ケーが言った。
僕もケーも疑問だらけだ。
「あなた方は魔法使いでもあるのね?」メアリーは思い切って言ったようだった。
「いえ、私は魔法使いではないです。予知ができますが。」ケーもおばあちゃんに思い切って言った。
「僕は魔法使いです。実力はまだまだですけどね。」僕も言った。帰るために何でも言おうと思った。
「そうなのね。」と何度もメアリーは頷いていた。
「だからね、あなた方にならなんとかできるんじゃないかって、思ったのよ。」メアリーは考えながら言っているようだ。
「この閉鎖された土地はね、元々は普通の土地だったのよ。」目を細めて思い出しながら言っているようだ。
「だけど、数か月前に閉鎖されてしまったの。」メアリーは悲しいような怒りたいような複雑な顔をしていた。
「さっき、『とある奴』に閉じ込められた、と言っていましたね?」僕も思い出しながら言った。
「誰なんですか?それは。」ケーが言った。
「そいつはね、『ポセイドンモドキ』と名乗っていたわ。」メアリーが言った。
「ポセイドンモドキ!?」二人で同時に言った。
「ポセイドンなら、訊いたことがあります。」ケーが言った。
「とある神話の神様ですよ。ポセイドンというのは。」メアリーが言った。
「海の神様ですよね?」ケーが言った。
「正解ですよ。だけど『ポセイドンモドキ』は、神様じゃないの。妖怪なのよ。」メアリーは初めて」憎々しげに言った。
「奴が言っていたわ。俺は闇協会の妖怪である、と。何なのかしらね?」メアリーは怒っているようだった。
「闇協会?そう言っていたんですか?」ケーが言った。
「そうなのよ。あなた方は何か知っているの?」メアリーもまた疑問、という顔になった。
「僕たちの学校の資金源がかつて闇協会でした。」僕が言った。あの闇協会がここでも、か。
「魔法使いの現在は、隠れて光と闇に分かれて戦っています。その闇のグループでしょうね。」ケーも言った。
「まぁ、そうなの。」今度はメアリーが驚いた。
「それでね、そのポセイドンモドキが言うのよ。『ワレニシタガエ』って。」メアリーは怒って言った。
「それで、奴をやっつけてほしいんですか?」僕が言った。
「そうなのよ。この土地を蹂躙されたくなくてね。」メアリーはキッパリと言った。
「是非、協力をお願いしたいの。いいかしら?そしてね、この土地を閉鎖から解放してほしいのよ。」
「どのみち僕達も帰れないようですから、協力しますよ!」僕もキッパリと言った。
「私も協力は惜しみません!」ケーもハッキリと言った。
「わかりましたよ。それなら手を打ちましょう。」メアリーはニッコリ笑って続けたのだった。
「ポセイドンモドキを打ち滅ぼして頂戴ね。」
この作品は、どこにも投稿しておりません。
いわばおろしたての作品でしょうね。
最後まで載せますので、どうぞ楽しんでくださいね。
物語の初めは、こちらになります。
バーチャル学校vol3-01
物語の続きは、こちらになります。
バーチャル学校vol3-02
物語の続きは、こちらになります。
バーチャル学校vol3-03
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バーチャル学校vol3-04
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バーチャル学校vol3-05
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バーチャル学校vol3-06
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バーチャル学校vol3-07
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バーチャル学校vol3-08
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