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詩、小説

2024-05-31 03:18:32 *バーチャル学校vol1 08*
作 林柚希

「ただいまー!」今日は、元気に家に帰ってこれた。
バタン。
靴を脱ぐと、もう、窮屈な服を脱いで、部屋着に着替えたくなる。
「母さん?」ベランダに顔を出してみる。
「ああ、帰ったのね。」母さんは気づいたようだ。
「おかえり。」こっちを見てニッコリ微笑んでいる。
「母さん、ワンダリング先生が今日…」と言いかけたら、
「ああ、ワンダリング先生家に来るのね。わかったわよ。」
お母さんは、またニッコリして、「お父さんにも言っておくわね。」
「うん。」僕は頷くと部屋に戻った。

椅子に座ってしばらく、あーでもない、こーでもないと考え事をした後、ふと思いついて。
かばんからゴソゴソと本を取り出す。
学校の宿題やら、ノートやらに挟まって、あの本がある。
『魔法の書 中級編』だ。
するとお母さんから、声がかけられた。
(トゥルー、本を開けなさい。それでね。まず声の伝え方を勉強しなさいよ。)
僕は、その音にない声にびっくりして、椅子から転げ落ちそうになった。
「母さん、びっくりするよ!」僕は思わず喚いた。
(いいから、大丈夫。これになれるからね。大丈夫よ。)
「う、うん、わかった。」返事をするとまず、本の表紙を見る。
そこには、小さく文字が書かれている。ん?逆さ文字?
じゃあ、と小さな鏡を取り出して、鏡越しに文字を見る。…ん~みづらいなぁ。
「本よ、開きなさい…?」本からボン!と、音がして、本が開いた。
「ホッ。開いた。」僕は心からホッとした。
本の1ページ目を見ると、「君には魔法使いの才能がある!心したまえ!…。」と続いている。
目次を見ると、様々な魔法の説明と実践方法が並んでいる。
僕にできるだろうか…?頑張るぞ!
「よしっ!」気合を入れな直して本を見る。
まず、母さんの言っていた『心の通信方法』から実践することにした。
まず、説明を読んだ後、コップに水を汲んできて、机の上に置いた。
ゆっくりと息を吸い、心で(波紋)と念じてみる。
最初は何も起きなかったけど、一旦力んでいた肩から力を抜いて、
また念じてみる。…すると。
コップの水が徐々に揺れ。中央から外に向けて波紋が起きた…!
「やったぞ!」よし。次は他の魔法使いに念じてみなさい、とある。
(母さん、母さん、聞こえる?僕トゥルーだよ。)
母さん、気づかないかな?焦るな、焦るな。
(母さん、トゥルーだよ。お願いします。聞こえますように。)
思わず祈りの形になる。
(…?トゥルー?)母さんだ!!
(母さん、トゥルーだよ。聞こえる?)思わず拳を握りしめる。
(聞こえるわよ。わりとすんなりできたのね。すごいわね~。)きっとニッコリしているだろう。
(結構すんなりかな?わかんないや。母さん、この通信はケーにしちゃダメ?)心に浮かんだ疑問を口にする。
(そうね、彼女は魔法使いじゃないからね。でも、本に『魔法使い以外の対象に話しかける場合』があるでしょう?)
本に、目を落とすと確かにある。
(あったよ。そのやり方を実践してみるね。)僕はやる気だ。
(そうね、トゥルー、頑張ってね。)
(うん、頑張るよ!)お、そうだ!
(お父さんとは、連絡ついたの?)
(ついたわよ。お父さん、早く帰ってくるって。)
(わかった、ケーは呼んじゃダメ?)
(後でケーちゃんに連絡してみるわね。)
(了解!)
さて、母さんとの通信は終わり!
ケーとの通信はどうしたらいいのかな?
本の説明を聞いて、ちょっとえっ、と驚く。
簡単に言うと、人形を作って、その人形に魔法をかけるそうだ。
それから、通信ができるようになるらしい。
えー!!僕家庭科の裁縫って苦手なんだよな~。困ったな。
そうだ!
(母さん!母さん!)必死に念じる。
(どうしたの?トゥルー?)母さんだ。
(『魔法使い以外の対象に話しかける場合』は読んだんだけどさ、人形作るなんて無理だよー!)
(そうなの?それで?)もう、母さん知ってて言わせるんだからな~もう。
(人形だけ、母さんに作ってもらいたいんだけどダメ?僕家庭科の成績散々だったからさ。)
(本当は自分で作らないとなんだけどね…。わかった。)
(作ってくれる?)僕は懇願する。
(いいわよ。その代わり!)
(その代わり?)
(今度肩揉んでね。最近、肩痛くて~。)母さんの返事にがくっとなりつつ。
(わかったから、人形作ってね!)
(はいはい。)
コンコン。あれ?
カチャ。ドアが開くと。母さんだ。
「どうしたの?」
(人形作ったわよ!)僕の手にポンと乗せる。
(早いね、母さん!)思わず心の通信になる。
(わかっていたからね、作っておいたのよ。)
ニッコリ微笑んで、じゃ!と言って去っていった。


この作品は、とある編集部へ送った投稿作品です。
がんばって書いたら、どう考えても規定枚数を超えてしまいました。
だけど、熱意が伝わっていいかも、と送ってしまった作品です。
もちろん、選外にもれてしまいましたが。
この先も続きますので、楽しみにしていてください。

物語の初めは、こちらになります。
バーチャル学校 vol1 01

物語の続きは、こちらになります。
バーチャル学校 vol1 02

物語の続きは、こちらになります。
バーチャル学校 vol1 03

物語の続きは、こちらになります。
バーチャル学校 vol1 04

物語の続きは、こちらになります。
バーチャル学校 vol1 05

物語の続きは、こちらになります。
バーチャル学校 vol1 06

物語の続きは、こちらになります。
バーチャル学校 vol1 07

物語の続きは、こちらになります。
バーチャル学校 vol1 08

物語の続きは、こちらになります。
バーチャル学校 vol1 09

物語の続きは、こちらになります。
バーチャル学校 vol1 10

物語の続きは、こちらになります。
バーチャル学校 vol1 11

物語の続きは、こちらになります。
バーチャル学校 vol1 12

物語の続きは、こちらになります。
バーチャル学校 vol1 13

物語の続きは、こちらになります。
バーチャル学校 vol1 14

物語の終わりは、こちらになります。
バーチャル学校 vol1 15-17


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2024-05-30 00:31:16 *バーチャル学校vol1 07*
作 林柚希

キーンコーンカーンコーン。
やべ、また始業ベルが…。
トゥルーは、慌てて学校に来ると、途中で「おは…、さっき言ったね。」
と苦笑いするケーに出会った。
一緒にダッシュして、校門をくぐり、ワンダリング先生に会った。
「おはよう、トゥルー、ケー。」と笑いながら言ってきた。
「おはようございます、先生。」二人とも挨拶すると、こっそりと
「学校では二人に渡した本は禁句だよ。いいね。」念を押すと、先生は、じゃ、と言って校舎に入っていった。
「そーんなこと言っても、ねぇ?」ケーは同意を得たいとこっちを見てくる。
「しょうがないだろ?誰が聞いてるかわからないからな。」と僕は言う。
ケーもこっそりと言ってくる。
「大体さ、先生も上手く隠しすぎなんだよ。恐らくボロを出すかしないと、あっちの動向なんてわからなくない?」
ケーも策略をめぐらしてくるなぁ。
「危ないって、それじゃ。こっちの内情がバレるだろ?どう痛い目を見るかわからいよ。」僕も考えながら言う。
「まぁいい。急いで校舎には入ろう?遅刻しちゃうよ。」と僕。
「そうだね、相談は、また後で。」ケーが言うと、二人して急いで校舎に入った。

時間が経ち、3時間目。
「次は理科だったよね?」ケーに僕が言う。
「そうだね。実験だったと思うけど、解剖なんてないよね?」ケーは嫌な顔をして言った。
「僕もそういうのは苦手。確か科学実験だったはず。」僕の言葉でケーはホッとしたらしい。
「まいっか。実験室に行こう。」ケーに言われて、そうだね、と一緒に行った。

歩きながら、トゥルーにケーが
「私もね、本を貸してもらえて実は嬉しかったんだ。」ケーは嬉し気にふふっと笑った。
「トゥルーはどんな気持ちだったの?」ケーが聞いてくる。
「僕は嬉しかったし得意げだっただろ?」僕はちょっと恥ずかしかった。
「ケーには嫌味に思えたかもな。ごめんな。」僕は考えながら言った。
「正直、いいなーこのー!って思ってたけど、私も得意げだったんだよ?」ケーもなんだか照れ臭そうだ。
「私の友達にね、そんな存在がいたら、自慢できるもん。」またケーがふふっと笑った。
僕もなんだか照れ臭くなって、へへっと笑った。
お、理科室だ。
「ここだ、入ろう?」ケーが言った。

さて、理科の授業が始まった。
先生が、理科の実験の説明をしている。
「火薬を使わない線香花火の作り方」だそうだ。塩硝や硫黄や木炭を使って和紙に乗せてこよりにするそうだ。
硫黄は変な匂いがするからやだなぁ、とケーが言っていた。
そして、いくつかのグループに分かれて、実験を開始した。
そして、皆でこよりにした線香花火に火をつけることになった。
火をつけると、本当の線香花火のように小さな丸い火の玉になって、火花が散り始めた。
お!やった!!と、思わずリキんだら、ポトっと火の玉が落ちてしまった。
「あ~!!」終わっちゃった。
僕は、仕方ない、とケーを見たら、ケーはわりと長く花火をしていたので感心してしまった。
他を見ると、げっと思わずのけぞっている奴や、あれ?と首をかしげている奴をみかけたので、そちらを観察してみた。
すると、黒い長い矢印のような尻尾をつけた変な奴がふよふよ浮きながら、同じグループの奴にいたずらしているのを見てしまった!!
「なんだ?こいつ。」思わず、呟くと、その全身黒い奴は、「んゲ」と短くびっくりしたようでそのまま逃げてしまった。
しまったな、思うと同時に「先生!トイレ行ってきます!」僕はとっさにそう言うと、一目散に追いかけていった。
奴は何者だ!?一体…。僕は疑問でいっぱいだったが、きっと答えはあると山勘はささやく。
奴は、廊下をふよふよ浮きながらある一角のドアの前で、ドアに吸い込まれて消えた。
ルームプレートを見ると、そこには「校長室」と書かれていた…!!
「嘘だろ…?」角で見ていた僕は、そう呟くと、慌てて理科室に戻ろうとしてギクリとした。
後ろには、厳しい顔をしたワンダリング先生がいた。
先生は、「君を追いかけていたらここに来たんだ。何をみたんだ一体!!」先生は鬼気迫る形相だ。
「僕は…。理科実験でいたずらをしている変な奴を見かけて…。」僕はびっくりしてそのままの勢いで白状した。
「その変な奴は!?」先生も要領を得なくてわかりにくいようだ。
「矢印のようなしっぽが生えた、真っ黒な赤ん坊みたいな変な奴でしたよ。」僕は思い出しながら言う。
「そんな奴が…。それで、追いかけたんだね?」先生も必死で考えているようだ。
「そうです、それで、そこの『校長室』の前でドアに吸い込まれて行って…。」僕は心配になってきた。
「先生はどうして今そこに?」
「僕はたまたまトイレに行く途中で、君を見かけたんだよ。」先生は思い出しながら、
「それで君を見かけてね。声をかけたんだが、返事はしないし様子が変だったから追いかけたんだよ。」先生の答えにホッとして。
「そうですか。それで、奴はなんだったんでしょうか?先生ならわかりますか?」僕は別の疑問をぶつける。
「そいつは使い魔、じゃないかな。闇協会…、この話は今度。もう理科実験室に戻りなさい。」急に先生ぶると、「あ、どうも。」挨拶をしている。
「ワンダリング先生、せいがでますな。」校長先生がいた!
「いえいえ。」先生も精一杯笑顔になる。
「その生徒は?」校長先生は聞いてくる。
「あ、僕トイレに行こうとして、道に迷っちゃったみたいです。」思わずヘタりそうになるのを必死にごまかす。
「僕が連れていきますから。」先生が、「さ、行こうか。」と言うと校長室前を後にした。
理科実験室に戻りながら、先生が「後で君の家に行くから。両親にそう言いたまえ。」とまた厳しい形相で言う。
「わかりました、先生。」僕は足に感覚がないのに気づいた。あ、大丈夫か、僕の足!?
ああ、びっくりした…!!
理科実験室に戻ると、いつのまにか授業の終わりのベルが鳴っていたらしく、ケーが、
「長いよ!トイレ!」プーっと膨れている。
僕は、やっと人心地がついて、「ケー!」後で言いたいことがあるから、と僕の慌てた様子に何かカンが働いたらしく。
「わかった。後で聞くね。」と理科実験室を出た。
その日のお昼休みに、こっそりとさっきの出来事をケーに言うと、ケーもゾッとしていたのだった。


この作品は、とある編集部へ送った投稿作品です。
がんばって書いたら、どう考えても規定枚数を超えてしまいました。
だけど、熱意が伝わっていいかも、と送ってしまった作品です。
もちろん、選外にもれてしまいましたが。
この先も続きますので、楽しみにしていてください。

物語の初めは、こちらになります。
バーチャル学校 vol1 01

物語の続きは、こちらになります。
バーチャル学校 vol1 02

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2024-05-29 00:16:58 *バーチャル学校vol1 06*
作 林柚希

「トゥルー、トゥルー。起きなさい。」呼び声に目が覚めた。
朝だろうか。
「お、母さん?」薄く目を覚ます僕。
トゥルーは、お母さんが起こしていることに気が付き、
「もう朝?」と大あくびした。
「朝にはまだ早いのよ。ごめんね早く起こして。」と母さん。
「どうしたの?」とトゥルー。また大あくびしている。
「あなたにね、会わせたい人がいるの。」と母さん。
「誰?僕もうちょっと寝てる…。」とまた眠りそうになる僕の耳を引っ張って、
母さんは、「それがね、担任の先生なのよ。起きなさい!」
「イタタ…。なんだって!?」とびっくりして目が覚めた僕。
「目が覚めたよ、母さん。なんだってこんな時間に!?」
疑問だらけの僕は、普段着に着替えると、母さんとダイニングに向かった。

「それにしても、いつの間にかねぇ。」父さんの声だ。
「はぁ、僕も命令では仕方ないから来ましたけどね。」あ!?担任の先生だ。
「子供に教えるのは大変だろ?」と、父さん。僕たちバカじゃないぞ!
「どんどん吸収する子供たちは見ていて楽しいですよ。」担任の先生は、楽しそうだ。
と、二人ともこちらに気が付いたようだ。
「おはよう」父さんだ。
「おはよう!トゥルー。」担任の先生だ。
「おはよう、父さん。」まず父さんが先。それから…。
「おはよう、ワンダリング先生。」と先生に挨拶したら。
父さんと母さんが、プッと吹いてね。
「お前そんな名乗り方しているの!?」と笑われていたけれど、
先生は「なかなかしゃれているでしょ?」とご満悦なようだ。

え!?あれ?
「先生の名前はワンダリングじゃないの?」と僕は聞いた。
「違うんだよ。こいつの本名は…。」と父さんが言いかけたところで、
「うぉっほん!ごほん、こほん。」と咳でごまかす先生。
「先輩、いいんですよ、ワンダリングで!!」と強調する。
「ワンダリング先生はね。」と言って笑いながら母さんが話が進まないので続ける。
「私たちが呼び出したのよ。」と母さん。
「え!?そうなの?なんで??」僕は疑問だらけだ。
「トゥルーに魔法を覚えさせようとした要件を聞こうと思ってね。」ふん、と鼻息をきかせる父さん。
なるほど。僕ももやもやと疑問に思っていたんだった。
「あ、それですか…。」とワンダリング先生。
「彼には魔法の才能があると確信したからですよ。」と先生は続けて、
「君、教務室で聞いていただろう?私の話を。」と言ってきた。
「僕はちょっとだけ、才能があるんじゃないか、と言っていたのを聞いただけです。」と僕。
「やっぱり!だからね、いずれ言うつもりだったけど、ご両親が魔法使いなんで話が早く済むよ。」と嬉しそうだ。
「君はどこまで知っているんだい?」とワンダリング先生。

「僕は、…」躊躇しているけれど、息を吸い込んで説明しだした。
「先生からもらった、魔法の本は読破しました。それで、魔法の実現に成功しました。」と僕。
「やはり!」とワンダリング先生。
「やっぱり私たちの子ね~。」と母さん
「そうか、お前は頭のいい子供だなぁ。」と頭を父さんはなでなでした。
「もう、父さん、僕は小さな子供じゃないんだ。ナデナデしなくていいよ。」とつっぱねる。でも内心は嬉しかった。

「それでね、母さんと父さんにお願いがあるんだけど。。」とお願いしてみた。
朝っぱらだったし、無理かと思ったら、きやすくオーケーを貰って。
「トゥルー、なに用事って。」大あくびをしながらケーが来た!
そう、僕はケーを呼び出してもらうよう、頼んだのだった。
「ケー、ワンダリング先生に聞くことができるよ!魔法の事で。」僕は言った。
ケーはいきなり水でもかけられたかのような顔をして。
「マジで!?」と僕の後ろを見る。
「ケー、おはよう。」と三人が言った。
ケーと僕はダイニングに戻った。

「トゥルーのお母さんとお父さん。おはようございます。」ケーはすまして挨拶する。
「いいのよ。」と母さん。
「やっぱり女の子はいいな~」と父さん。なんだよ、それ。
「ケーさんも魔法の本は読んだのかい?」とワンダリング先生。
「いや、私には残念ながら魔法の才能はないようです。」と腕を広げたボディーランゲージをしている。
「そうか。」と先生も残念そうだ。
「ケーさんも呼んだのは、何故だい?トゥルー。」と先生。
「僕たちは、自分なりに魔法について調べました。そうだよな、ケー?」と、ケーの方を見る。
ケーも、言ってないのに、昨日見せてくれたコピー用紙を取りだして。
「私は、インターネットを駆使して調べました。そうしたら魔法協会のことが載っていまして。」と言って、テーブルに魔法協会のサイトの印刷したコピー用紙を乗せた。
皆で見て。
「あ、僕の会社のページだ。」と父さん。ケーはびっくりして
「トゥルーの父さんて、魔法協会で働いているんですか!?」と聞いてくる。
「そうだよ、トゥルーにはあまり説明していなかったんだが…。」と父さんもコホンと咳をして。
「魔法協会で働いているよ。」とケーに説明した。ついでに母さんとの馴れ初めも言う。
なんか僕が赤くなっちゃったよ。なぜだか。
「こっちは、魔法使いの歴史が書かれたページです。」とコピーを皆に見せる。

「おお。よく調べたね~。」と先生だ。
「それでね、良い魔法使いと悪い魔法使いと別れた、ってあるんですけど、魔法協会とあと先生!どちらなんですか?」ケーはどうだ!と言わんばかりに問うた。
「私たちは…。」母さんが言いかけて「いや、僕が言う。」と父さん。
「僕たち『魔法協会』は白だよ。」と父さん。僕は、大いにほっとした。
「僕、ワンダリングも白だよ。」ケーは疑っているようだ。僕も疑問だ。父さんと母さんは、にこにこしている。
「先生。魂にかけて誓えますか?本当のことを言っていると!?」とケーは迫る。僕も同じ気持ちだ。
「魂?誓えるよ。」と先生、そして続けた。
「僕は、元々『魔法協会』で働いていたんだ。」と先生。
「そう、彼ワンダリング先生は僕の後輩でもあるんだ。」と父さん。
僕とケーはびっくりだ。母さんはにこにこしている。
「そう、なんですか?じゃ、なんで私たちの学校で今は働いているんですか?」とケーはまだ質問をぶつける。
僕もコクコクと頷く。
「『魔法協会』からね命令が下って、派遣されたんだよ。ぶっちゃけて言うと。」と先生。
これには、とうさんと母さんも驚いたようだ。父さんが思わず、
「なんだって?」と聞き返している。
「そうなんですよ。僕はね君たちの学校に不穏な空気があるようなので、要請を受けてね…。」と言いかけていたら。
「君、オブラートに包んでいないでハッキリと言ってくれ。」と父さん。皆、頷いている。
「ハッキリ言うとね、いるんだよ。悪い魔法使いが!学校に!!」と先生が言い放った。
「それでね、色々探りを入れるように言われたんだよ、僕は。」と先生。思わず聞き入る。
「だけどね、気配はするんだけど、しっぽを出さないんだよ。あいつらは狡猾だからね。」と先生。
「先生、これは知っていたんですか?」とケー。一枚のコピー用紙をテーブルに乗せた。皆で見ると先生は顔色を変えた!
「君これは…?」と先生。
「これも、インターネットで調べた学校のサイトのページです。見ていなかったのですか?」ケーはいぶかしんだ。
「いや、僕はインターネットはあまり使わないから。」と先生。
「今どきの子供はすごいね。」と先生は続ける。
「『闇協会』の名前が出ているとはね。あの学校でビンゴなのか!」と先生は独り言のようにつぶやいた。
「先輩、ぜひケーさんとトゥルー君と先輩達の力を貸してください。僕たちだけでは人数が足りな過ぎているような気がするんです。」
「子供たちに危ない真似はさせやくないんだがなぁ」と頭をかく父さん。僕は、ぎゅっとこぶしを思わず握りしめる。
「父さん、僕たちは子供かもしれない。だけど、学校の先生達を見ているのは僕たち生徒でもあるんだ。僕はやりたい!」と僕は言い放った。
「わ、私も。自分の学校のことを、…本当の事が知りたいです。よろしくお願いします。」とケーは頭を下げる。
「あなた…。」と心配げな母さん。父さんは、
「お前たちの気持ちはわかった。それなら、条件付きでオーケーを出そう。」父さんは、アゴをしごきながら言った。
「ワンダリング先生と僕たち夫婦に必ず報告する事。聞けるかい?」父さんは返した。僕は、
「了解。それならいいよ。ケーは?」と僕。
「私もそれでいいです。私もあまり危険な事は避けたいし。」とケー。
「君たちも魂に誓いたまえ。決して報告を怠らないと!」と父さん。
僕たちとワンダリング先生は魂に誓った!

「お、そうだ。」とワンダリング先生。
「これを渡しておこう。それからケーにもね。」とヘタなウインクをしてきた。
僕には「魔法の書 中級編」。
それからケーには「はじめての予言の仕方 初級編」を渡してきた。
ケーは驚いて、思わず「私の才能を知っていたんですか?」と聞いた。
「知っているよ。だってモニターの授業に表れていたからね。」先生はにこにこだ。
そして、「学校で会おう!」と僕たちは一旦解散したのだった。


この作品は、とある編集部へ送った投稿作品です。
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2024-05-28 00:06:31 *バーチャル学校vol1 05*
作 林柚希

お昼休み後の授業は、僕もケーも爆睡していて、何度も怒られた。
だから授業内容は覚えていない。
キーンコーンカーンコーンと終わりの鐘が鳴った時はうれしかったな。
ぼんやりして帰ってきて、着替えもせずにドサっとソファに横になる。
トゥルーは、お母さんから「早く着替えなさいよ~」とベランダから言われて仕方なくもそもそ起きだして着替え始めた。
もう眠くて仕方がない。だめだ。
「ちょっと寝ているよー。」着替え終えた僕は、自分の部屋のベッドに入ると、安心して眠り始めた。
「あの子、仕方ないわね。昨日何やっていたのかしら?」ブツブツ言いながら、ベランダで洗濯を干しているお母さん。

「トゥルー、ちょっと。ちょっと目を覚ましなさい。」軽く頬をペチペチ叩かれて。
しばらくして目が覚めたトゥルー。
「どうしたの?ご飯??」
「ご飯よ。目を覚ましなさいよ!そんなに夜前に寝ていたら夜中に目が覚めるわよ。」とお母さん。
「はーい。」仕方なく起きだして、今日のご飯を聞くトゥルー。
今日は、シチューだよ。思わずお母さんに、すぐ行くと言ってダイニングへ向かった。

ダイニングのテーブルの上には、大きめの皿に並々とシチューが湯気を立てている。
それとご飯にサラダだ。簡素に見えるけど、具だくさんのシチューが大好きだ。
「美味しそう。」ぼんやりしていた頭がハッキリとしだし、お腹が鳴る。
「ご飯にしましょうか。」
「ただいま。」バタン。玄関から父さんの声がする。
「お帰り!お父さん」僕が元気に答える。
「あなた、おかえりなさい。」お母さんも答える。
ダイニングにお父さんが入ってくると、
「いい匂いだなぁ~」と鼻をくんくんするお父さん。
「さ、みんな席についてね。」お母さんも元気になってきた。
「いただきまーす。」カチャカチャと音をさせて、夕飯を食べ始めた。

まず、お母さんが話し始めた。「最近、学校はどう?」
ちょっと、僕はギクっとして。「まぁまぁだよ。」
お父さんは、チラっと見ながら「お前、昨日部屋でずっと何をしていた?」
僕は冷や汗をかきながら「えと、本を読んでいたよ。」これは嘘じゃないはず。うん。
「徹夜で読んでいたのか?」父さんもいぶかし気だ。
「うん、そうだよ。」コクコク頷く僕。
「じゃあね、なんで『ボンっ』とか「ワーイワーイ」ってベッドで騒ぐ音とかするの?」お母さんも僕をじーっと見ている。
「え!?」僕は、答えに窮してしまい、答えられない。
「それじゃ、質問を変えるね?なんの本を読んでいるの?」とお母さん。なんだかにらみつけている。
「えっと、それが…。…ま、ほうの本です。」答えちゃった。
「ま、ほうって魔法の本?」お母さんとお父さんは驚いて二人同時に言ってきた。
「そ、そう。」もう勘弁して~。
「じゃ、ちょっとその本を見せてみなさい。」とお父さん。なぜか今はほっとしている。
「そうね。」お母さんもなにやら嬉しそうだ。

僕の部屋から『はじめての魔法』の本を持ってくると、お父さんに渡した。
「本よ開け」お母さんとお父さんが同時に言い放った。
ボンっと音がして、本が開く。
本の中身を見て、二人とも感心して読んでいる。
「なんで言えるの?」僕は驚いた。
「なんでだともう?」お母さんはウキウキだ。
「…魔法使いだから?」僕は、恐る恐る答える。
「そう!二人とも!」二人ともスポットライトでも浴びているみたいだ。
「二人のなれそめを話す時が来たようだな。」

驚くことに、お父さんは魔法協会の職員で執筆や編集活動をしているそうだ。
「だって、お父さん会社員だって言っていたよ?」僕はこの偶然に驚きを隠せない。
「そうだよ、お父さんは魔法協会って言う出版社の会社員だよ。」にべもなく言う父さん。
そして、そこで働くお父さんに魔法の植物の扱い方の質問をいくつも送って、本の紹介を受けたのが今のお母さんだった、らしい。
「当時のお母さん、そりゃ可愛かったぞー」お父さんは、酔ってないかな。
「あなたねぇ。私の顔目当てだったの?」
「違うよー。」
なんか、ラブラブな雰囲気になって、僕は部屋へ帰ろうと思い、席を立ちかけ。
2人ともハッとして「まぁ、座りなさい」とお父さんが言った。

「それで、その本はどこで手に入れたの?」お母さん。
「えと、担任の先生だよ。」顔を思い出しながら答えた。
「そう。」
「えとね、その本の著者でもあるよ。」って付け加えたら2人とも驚いていた。
「そうなんだ、アイツ、トゥルーの学校で何やってるんだろうな?」お父さんは色々思い出している顔をしている。
「そうね、あなた、今度担任の先生に会ってみたいわね。ぜひ。」
「そうだな。」お母さんに返事をするお父さん。
お父さんはトゥルーに向かって「魔法の勉強をするんだろう?いいよ。」
「ほんと?お父さん。それからお母さんも。」とトゥルー
「私も賛成だよ。ただし、徹夜はいけません。わかった?」
「はーい。」僕は上機嫌だ。
僕は、嬉しかったので夕飯を食べた後、片づけて自分の部屋へ戻った。
もう、大安心して、爆睡一直線だった。


この作品は、とある編集部へ送った投稿作品です。
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バーチャル学校 vol1 03

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バーチャル学校 vol1 15-17


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2024-05-27 08:22:29 *バーチャル学校vol1 04*
作 林柚希

次の日。
「おはよー」ケーだ。
「お、おう。」僕は、頭が働かずボーっとしている。
トゥルーは、結局、朝方までかかってしまい、完徹してしまった。太陽光がやたらと眩しくて、頭がずぅうんと重い。
「私、家で調べてたら、徹夜しちゃってさぁ。」
ケーも、なんだか目をショボショボさせて、ファ〜と生あくびしている。
「調べてたって、何を?」いつものように頭がうごかない。
ケーは、またあくびしながら、
「何を、って、魔法だよ。」ケーは眠そうだ。
「魔法って、どうやって調べたの?」不思議だ、どうやったんだろうと、僕。
「まずはお礼言ってよね~。」またあくびしているケー。
「あ、うん。ありがとう。」確かに、まぁ、内容にもよるけど。
もう頭が働かないトゥルーは、形ばかりお礼を言うと、先を促した。
「それで、どうやったの?」再度聞く僕。
「そうだね、インターネットで調べたよ。」とケー。
一生懸命、思い出そうとしているそぶりを見せながら、
「ちょっとね、印刷もしてきたから、後で見せるよ。」とケーは右腕を上げながら思い切り伸びをしている。
「ほんと恩に着る。それで、どんなことがわかったの?」
「しっ。」ケーが人差し指を口にあてて僕にしゃべらせないようにすると、
「おはよう、ケーにトゥルー。」昨日本を貸してくれたあの先生だ!
「おはようございます。」二人とも揃った。
「昨日の本は読んでいるのかい?」さっそく探りを入れてくる先生。
「あ、はい、なんとか読んでいます。」
「本当かい!?すごいねぇ、君。」あはは、と先生は笑い出している。ここでなぜ笑う?
「本を開けることはできました。」一応、控えめに言って様子を見る。ほんとは読破したけれど。
「そうか、まぁ、頑張りたまえ。」嬉しそうな顔をして、先生は行ってしまった。

ほぉ~、っと二人してため息をついていると、キーンコーンと始業の鐘が鳴り始めたので、
「話は給食の後で!」と急いで校舎に入っていった。

さて、給食後のお昼休み。
「空いている教室に行こう。」僕が提案すると、ケーも「オッケィ♪」といそいそと移動した。
生徒のいない、ガラーンとした教室に行くと、僕たちは互いに得た情報をしゃべりだした。
「さて、まずはトゥルーから。」ケーがしゃべりだす。
「うん。」頷くと、僕はコピー用紙を出して、昨日やったみたいに、薄いレンガにした。
「ひゅ~♪」ケーが思わず口笛を吹く。驚いたようだ。
そして、火をレンガの上に出したときは、ケーは口がポカーンとしていた。
「どう?」僕は得意げに胸をはった。
「す、すごいね君。いっぱしの魔法使いじゃん!」ケーは思わず大声で言うと拍手してくれた。
「しっ。ケー声がでかい。」ケーをたしなめる僕。
「ごめん。でもびっくりしたんだよ?」ケーはちょっと声を落とす。
それで、水と入れ物を見せた時も、見事に驚いてくれた。昨日の僕みたいに。
「僕はこんなところ。それでこの本は終わってしまっているんだ。」本を叩いて言う。
「だけど、この本が言うには中級編もあるらしくて。」
「読みたいんだよね?」ケーが確かめるように言う。
「うん。」僕は頷く。
「そっか、…わかった。」
「まずね、その本の印刷年月日と著者を確認させてくれる?」ケーがなんだかすまなそうに言う。
「あ、いいよ。」僕は本を後ろから開くと、一番最後のページの印刷についての情報を読み上げた。
「まずは、印刷年、だけだね10年前のようだよ。」と僕。
「うん、それで?」ケーは尋ねてくる。
「著者は?」とケー。
「この本を貸してくれた先生、だよ。」
「なんだって!?」驚くケー。
「あ、ちなみにね、出版社が魔法協会、とあるよ。」
「魔法協会…。」なにやらケーは思案顔だ。
「どうしたの?」僕も頭が疑問でいっぱいだ。
「あのね、私の検索結果を言うね。」ケーはなにやら、カバンからゴソゴソと紙を取り出す。
「まずね、魔法協会。実際に存在しているようね。住所と電話番号まで載っているページを見たよ。
今度は、僕が驚く番だ。
「これ。」一枚の用紙を見せてきた。
それを見ると、杖にヘビが巻き付いたマークの下に、思いっきり「魔法協会」とある。
住所と電話番号がある。でも、来れるかな…。と書いてあってなんだか不気味。
「それとね、『魔法使いの歴史』ってページを見たんだけどね。」ケーはまたもゴソゴソしている。
「あ、コレ。」ってケーが、渡してくる。
「かいつまんで書いてあるだけだけどね。わかりやすいでしょ?」ケーも心なしか得意顔だ。
その用紙には、『魔法使いの歴史』とあり、ほんとに分かりやすいイラストと文章が少し載っている。
魔法使いとは、本来、自然を愛し、自然とともに生きてきた、とある。
町や村の何でも屋で、足が悪いと相談すると、飲み薬を作って、治してくれたり、建物が壊れたと相談を持ち掛けられると、呪文を唱えて直してくれていたそうだ。
本当の初期の頃はそんな感じ。
で、中期にさしかかると領土の取り合いの戦に駆り出され、やがて虐殺の憂き目にあったらしい。
怒った魔法使いたちは、秘儀を行いながら、身分を隠すようになり、集団で生活したり、もしくは一子相伝で細々と村の相談役を担っていた人々もいたようだ。
現在は、正義と悪の二派に別れて、隠れて戦争をしているそうだ。
僕は驚いた。こんな歴史なんだ。
僕は、とんでもない所に足を突っ込んだのだろうか!?
「僕、驚いてるよ。」絞り出すように言うと、ため息をついた。
「私はね、実は予知が少しできるんだけど。」さらに驚くことをケーが言う。
「トゥルー、引き返すなら今のうちだよ。ただの魔法ごっこに終わらないと思う。」
「なんでそんなこと言うんだよ!」僕は、…僕は。
「僕は、ごっこ遊びでやってねぇよ!」カチンときて言い放つ僕。
「なんかね、やな予感がチカチカするんだよ。だから!…ごっこ遊びって言ったのは謝る。ごめん。」
ケーが謝った。珍しいこともあるもんだ。
「わかった。…それで、先生のことを怪しいと思っているんだろ?」と僕。
「まだそれはグレーゾーンだよ。」とケー。
「わからないんだね。でも僕は魔法を習得したいんだ。この先どうなるかわからないけれど。」
僕は必死に考えながら言う。
「だから、あの先生にはひっついて習得しようと思う。」僕は、言ってから、何かスコーンと抜けて、落ち着いたような気がした。これでいい。本能が言っているようだ。
「わかった、ただね。」ケーは、念を押す。
「魔法協会がどんなところかわかってないんだよ。それによると思う。それからね。」ケーは続ける。
「この学校も何か怪しいと思う。今回の件で分かったんだけどね。」ケーはまたゴソゴソと紙を取り出した。
この学校の成り立ちが書いてあるが。あれ?
「この『闇協会』って何?」僕は紙を指す。
「おそらくだけど。」ケーは思案している。
「魔法使いの歴史ってあったでしょ?あれの悪の方の魔法使いの集まりだと思う。」ケーはようやっと言えた、という顔をしている。
「この学校、なんかヘンだよ。」ケーは警告を発している。
「え…。」僕は、紙をよく見る。
すると、『闇協会』はこの学校の資金調達を担っていた、と書かれている。
「マジ?」僕はびっくりだ。
「マジだよ。この学校は、子供たちを使ってどうしようとしているんだろね?」ケーはちょっと考えたくなさそうだ。
「…とにかく!僕はあの先生から魔法を習得しきる!それから考えよう。」僕は徹夜の頭で必死に考えながら言う。
「そうだね。私は魔法協会について調べるね。」ケーは頼もしい味方だ。
「わかった。良く調べてくれたね。ありがとう。」またお礼を言った。
キーンコーンカーンコーン。あ。また授業が始まる。
「どういたしまして。」ケーはちょっと照れている。
「さ、行こ!授業が始まる。」僕たちは動き出した。


この作品は、とある編集部へ送った投稿作品です。
がんばって書いたら、どう考えても規定枚数を超えてしまいました。
だけど、熱意が伝わっていいかも、と送ってしまった作品です。
もちろん、選外にもれてしまいましたが。
この先も続きますので、楽しみにしていてください。

物語の初めは、こちらになります。
バーチャル学校 vol1 01

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2024-05-26 05:36:21 *バーチャル学校vol1 03*
作 林柚希

ガチャ。
「母さん、ただいま。」バタン。
学校から戻ると、すぐにルームウェアに着替えて、ドサっとソファに座った。
「お帰り、トゥルー。」
ベランダから戻ってきた母さんは、2、3植物の葉を持っている。またハーブかな。
「学校で何か変わった事があったのかい?」
ギクっとしたけど、なるべく平静を装って応えた。
「そんなことないよ。」
「そう。」特に気づかなかったようだ。
「じゃ、おやつの時間にしようか。」
心底ホッとして、元気に言った。
「そうしよう!今日はなあに?」
台所でガサゴソやりながら、母さんは、
「ハーブティーと、ホットケーキなんてどう?」
僕はハーブティーはちょいニガテ。だから、
「僕は紅茶がいいな。で、ホットケーキは賛成。」
母さんは、仕方ない、って顔して。
「じゃ、手を洗ってきてね。」
「はーい。」素直にソファーから移動して、手を洗う。
「もうちょっとで焼き上がるわよ。席についてね。」
「りょーかい!」僕はおどけて言うと席についた。
そのテーブルには、木の皿に僕愛用の空の絵に斜めに雲がすっと入ったコップから、紅茶のいい香りがしている。
木の皿には、ホットケーキが2枚乗っている。
優しい、いい香りがする。
「いただきまーす!」
まず、ちょっとメープルシロップをかけて、フォークで食べる。パクパクと。
「うまーい。」ふわふわのホットケーキは、なかなかだ。
もう少し食べたかったけど、お皿に乗っている分だけにして、僕は自分の部屋に戻った。
僕は、コップだけ、紅茶を足して持ってくると、机に置き、カバンから、あの本を取り出す。
そう、『はじめての魔法』だ。
もう、呪文を唱えなくても、開くようだ。
この本は、僕を認識しているのだろうか。
まあ、いっか。
序章と、始めの呪文の説明を読む。
まずは、…硬質化の魔法?なんで?
と思ったけれど、まずは試してみよう。
コピー用紙を机の上に置いておき。
「レンガになれ」…ポンっと煙が少し上がるとコピー用紙が薄いレンガになった、のかな?
コンコン。指で叩くと硬い音がする。
持ってみると、元が紙とは思えない重さだ。
ま、薄いから軽いけど。
次。火の呪文だ。
レンガの上で、呪文を唱える。
「火よ、おきろ!」ボンっと煙があがり、火がレンガの上におきた、としか言えない現象が起こった。
火は、レンガいっぱいの大きさで焦ったけど、5秒程で消えた。あとには、レンガに炭のような跡がある。
あっだから、レンガが先だったんだ。
うわっ。すげっ!
僕は、足をバタバタすると、大興奮してきた。
ぼ、僕マジで魔法使いだ!
ひとしきり、興奮していると、次から次へと読み込んだ。
火、水、と入れ物の魔法を試した所で、お腹が、ぐぅ~っと鳴った。
「腹減ったなあ。」
そろそろご飯だ。レンガや入れ物に、
「元に戻れ!」ポンって音がして、ただのコピー用紙に戻した。
ちょうど、その時、壁越しに「ご飯よー」って聞こえてきた。
「わかったー!」大声で返事をすると片付けて、リビングに向かった。

席につくやいなや、ガシガシと食べ始め、あっという間に食べ終わると、また部屋に戻って、あの本を読むんだ!
割と薄い本なので、うまく行ったら、一晩で読み切ることができるかも。
でも、そうしたら、ケーに自慢しちゃおうか。
そして、この本、今手にしている本を読んで、貸してくれた先生になんて言おう。
僕は、まだまだだ。
もっと読んでみたい。
今日は、完徹するつもりで、頑張る!
トゥルーは、朝方まで、魔法の本を読みふけるのでした。


この作品は、とある編集部へ送った投稿作品です。
がんばって書いたら、どう考えても規定枚数を超えてしまいました。
だけど、熱意が伝わっていいかも、と送ってしまった作品です。
もちろん、選外にもれてしまいましたが。
この先も続きますので、楽しみにしていてください。

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2024-05-25 00:06:13 *バーチャル学校vol1 02*
作 林柚希

図書室はあまり来ないので、勝手がよくわからない。
ケーは、慣れた様子で、図書カードをヒラヒラさせながら、近づいてきた。
「来れないと、ダメだよん。」
もう、いちいちカチンと来るなあ。
「ケーが持っているからいいんだよ。」
あ、いかん。
ボルテージが上がる。
「それで、そのカードで何を調べるの?」
ケーも悪いと思ったのか、声をひそめて喋りだした。
「もち、『魔法』に関して、だよ。」
1台の端末に2人でくると座った。
ケーは、カードを端末に差し込むと、カタカタとキーボードを叩く。
ID、パスワードを入力すると、バーチャル学校へようこそ、の文字が表示される。
検索画面に移って、そのものズバリ、『魔法』、と入力して、検索ボタンを押した。
検索結果は、魔法の物語の書籍が並んで表示された。
魔法に関する書籍は、…あ、あった。
『魔法大全』・魔法の辞書。
「あった!」2人とも声が揃った。
「あ、でも、これ『特別書籍』扱いだよ。」
ケーが、残念そうに呟く。
「特別書籍?」僕も、思わず呟く。
「ここに書いてあるんだけどね。」
コンコンと画面をケーが叩く。
「特別書籍は、窓口で申請して下さい、ってね。」
ケーは、更に声を潜めて、
「だって、コッソリ調べたいんでしょう?マズいって。」
「そうだな、どうしようか。」
「…何を調べているのかな?」
やべっ。あの先生だ。
僕がオタオタしそうになっていると。
「科学の本です、先生。」
ケーが、予め用意した別の検索結果画面を出した。
画面には、科学の本が並んでいる。
サンクス、ケー!
「君達、魔法には興味ないかい?」
務めてにこやかに話しかけてくる。
なんか、嘘くさいな。
僕は、いぶかしんだ。
「魔法なんて、実際にこの世にあるんですか?」
ケーは、ギクっとしていたが、先生は、あくまでにこやかに、
「実際にあるんだよ。念力があるだろう?あれに近い能力なんだよ。」
「へぇ〜。」ちょっと感心した。
「君、興味あるのかい?」先生は、にこやかなんだが。
「そうですね、ちょっとは。」
僕もヘタながら、顔をにこやかにして応対する。
「それなら。」と先生は、1冊の本を渡してきた。
「読んでみなさい。面白いから。」と去っていった。
残していった本をみると、『はじめての魔法』と書かれていた。
「絶対怪しいよ!」ケーも疑っているようだ。
「その本は、読まない方がいいよ。」本を手に取り、ケーが読む、と本を読もうとした。
「あ、あれ?」本をグイグイ開けようとするケー。
「ちょっと見せて。」本を受け取ると、表紙を見る。
本には、『はじめての魔法』の下にこう書かれていた。
『本よ開け、と呼びかけてね』僕は思わず呟く。
「本よ開け。」
ポンっと音がして最初のページが開いた!
隣のケーが、ヒュウ〜♪と口笛を鳴らす。
「よく、わかったね!?」ケーは、不思議そうだ。
「それがさ、ここにね。」僕は、本の表紙を見せて文字を指先で指し示す。
「呪文が書いてあるだろ?」どうだ、と言わんばかりだ。
「呪文?」ケーは、表紙をくまなく見ているが、
「どこにもないよ?」ケーは不思議に拍車がかかっているようだ。
もう一度、本をもらって見ると僕は、こう答えた。
「白い文字でね、『本よ開け、と呼びかけてね』って書いてあるよ。」
ケーも、表示を覗き込んでいる。
「凄いね、トゥルー!君もはれて魔法使いだね。」
羨ましそうな眼差しで僕を見る。
「よせって。まだ早いよ。」僕は照れてしまった。
「で、どうするの?」ケーが聞いてくる。
「まずは、この本を読破してみるよ。」僕は応えた。
「そうだね。」うなずくケー。
なんとなく、読みづらくて図書室を後にした。
多分、見ることができないケーの隣で読むのも、図書室の周囲の視線も気になったのだった。


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2024-05-24 00:02:53 *バーチャル学校vol1 01*
作 林柚希

キーンコーンカーンコーン。
「やべ、始業の時間だ。」
僕は、ゴーグルをつけてもらうと、一目散に準備をして学校を目指した。
「おっはよ。」
尻尾がゴーグルに巻き付いて、何も見えない。
「ケーだな。やめろ!」
横にスタっと着地すると、ケーはもう一度言った。
「おはよ。ご挨拶は?」
「っ!!っはよっ。」おが抜けちまった。まあいい。
ちょっとカチンと来たがまあ、いっか。
「1時限目、何だっけ?」
「念力、じゃなかったか?」
「そうだっけ?ま、いっか。」
1時限目について、喋り合う。
この学校は、言わば身体障害者を主に学生として奨励している。とは言っても、バーチャルで第6の感覚を得ている、というが難しい話はよくわからない。
僕『トゥルー』は、目が生まれつき見えない。
だけれど、ゴーグルについた電子の目で世界を見ている。
初めて見えた時の感動は、なかなか喋れない。言い表せなくて。
隣にいるケーは、左手が思うように使えない。でも、尻尾をつけることで、飛躍的な運動能力を手にいれている。
体育の先生に言わせると、サルなみだそうだ。
さて、『念力』の時間だ。
あれは、ニガテなんだよな〜。
モニターを見ながら、頭にヘルメットを被って、物を動かすんだけど、簡単に浮かす奴や動かす奴がいるけど、僕には才能がからきしらしい。
もう、とっくにあきらめている。
モニターのリンゴを睨みつけても、うんともすんともならない。くそっ。
モニターを見ていたら、グーっと腹が減ってきた。
「リンゴ食いたいな。」
すると、モニターのリンゴがかじっ、と齧ったように欠けた。
「ええ?!」
モニターのリンゴが食ったみたいに…。
キーンコーンカーンコーン。
あ、念力の時間は終わった。
でも、モニターでこんな事無かったのに。
先生に話を聞こうとしたけれど、先生は、そそくさと行ってしまった。なんだか慌てていたような。
ま、いっか。
教務室まで、行くことにした。
廊下をいくつも歩いて曲がると、教務室のプラカードが見えてきた。
戸が少し開いている。
「…だから!トゥルーには魔法の才能がありそうなんですよ!」
え!?
僕は戸を開きかけて止まった。
ま、魔法!?
「誰だ!」
慌てて教務室から去ると、一目散に逃げた。
後ろからガラッと戸を開く音がしたが、追いかけてくる気配は無かった。
「ケー!ケー!!」
取り敢えず友達に相談だ。
「どうしたの、トゥルー?」
尻尾をフリフリして応える。
「いや、ちょっと、…こっち来て。」
「な〜に?」
グラウンドの木陰に呼ぶと、ヒソヒソ話始めた。
さっきの教務室で聞いた話を言うと。
「そうなの?凄いじゃん!?魔法ねぇ。」
ケーは、何やら思案顔だ。
「確かに僕の名前を言っていたんだよ。」
「じゃさぁ、図書室でちょっと調べ物しよっか。『魔法』について。」
午前中が終わり、やっと給食を食べると、午後の授業は1時限のみで後は授業が中止になった。
先生が、具合が悪いらしい。
喜んで、ケーと図書室へ行った。


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2024-05-22 14:14:31 *こんな時僕は*


作 林柚希

お兄さんなんか大嫌いだ!

僕は音楽プレーヤー
お兄さんも同じだけれども
お兄さんはたくさんの音楽を覚えている
他にも色々なことをすることができる
でも、僕はひとまわりり小さくて
音楽も少ししか覚えていられない

でも、僕を使ってくれている人間は
僕をよく使っていてくれる
朝、ジョギングをする時、
僕を連れ出して、一緒に音楽を聴いて
大きな公園を一周することが日課だ
夕方帰ってきたときも同じ

だけれども、その朝の後
通勤の時間帯、遠い会社というところへ
通っている人間はお兄さんを連れて
沢山の音楽を聴いているという

つい、羨ましくなって
お兄さんに聞いてみた
「お兄さんみたいになるには
どうしたらいいの?」
お兄さんは、困った顔をして
「お前は俺みたいには出来ていないんだよ」

僕にはそんなマネできないのか!
僕はショックだった。

「でも、お前はひとまわり小さくできているだろう?
いつでも、どこでもお供できるようにできているんだよ」

でも!でも。
僕はお兄さんみたいになりたい。
そう、思うようになっていたけれど。

ある時。
大きなラジカセさんという存在が増えた。
ラジカセさんは僕とくっついて
音楽を聴くことが出来るようになっていた
でも、お兄さんとはくっつくことが出来無いようだった
お兄さんは残念そうにしていたけれど

僕はざまぁみろ!と小さな喝采をあげたい気持ちだった
家で、人間が寛ぐときも僕を使ってくれることが増えた
物凄く嬉しかった

でもお兄さんは悔しそうじゃなくて
ただただ
「よかったな」
と言うだけだった

お兄さんは悔しくないのかな?

ちょっと複雑な後ろめたい気分だった

そうこうするうちに、お兄さんは誤作動するようになり
あまり、お兄さんは使われなくなってきた

僕はてっきり自分が勝った!と思うかと
思っていたけれど、違ってた
どうしたんだろう、お兄さん

「ラジカセさん、お兄さんどうしたのかな?」
「ちょっと故障しちゃったみたいだよ。
でも、きっと大丈夫。今修理に出かけているから」

そうなんだ。
僕は今までを振り返ってみた
初めてこの家にやってきた時
お兄さんは、優しく出迎えてくれたじゃないか!

「初めまして。よろしくな!」
そういってニコニコしてくれたっけ

お兄さん、もし故障したんまんまだったらどうしよう?
僕は初めて動揺した

いつもお兄さんは初めてづくしの僕に優しかった
音楽を初めて覚えさせられた時
初めての外出の時
怖かった僕を、慰めてくれたのはお兄さんだった

そうだ。おにいさんだったんだ

「ラジカセさん。お兄さん大丈夫だよね?」
「大したことはないんじゃない?きっとすぐもどってくるわよ」

お兄さんは、1ヶ月くらいしてから戻ってきた
なんだかはずかしそうに
新品同様になって戻ってきた

「ただいま」
「おかえり。お兄さん」
「おかえりなさい」
ラジカセさんはお兄さんとも仲が良かった

「俺さ、せっかく覚えた音楽と機能、すっかり忘れちゃったんだ」
照れくさそうに言っていたけれど
僕はびっくりした
「え!?大丈夫なの?お兄さん」
「大丈夫だろ。お前の事は覚えているからな」
心なしか、ちょっと嬉しそうだった

僕は、心の決めていたセリフを言ってみた
「ごめんね、お兄さん」

お兄さんはちょっとびっくりした顔をして
「どうした、珍しいな」
「今まで、お兄さんは僕に優しかったのに、
僕は…僕は」

「なんだ、気にすることないだろ?
お前に嫌な思いをさせちまったからな
俺も言い方を考えればよかったんだ
俺こそごめんな」

「いいんだよ、お兄さん
今まで通り、これからもよろしくな」

「そうだな。一から覚えなおしだ」

「お兄さん、一ついいことがあるんだよ」
「なんだろ?」

「ラジカセさんにね、部品さんをくっつけると
お兄さんも音楽を奏でる事が出来るようになったんだよ!」

「そうか~」
感慨深そうにお兄さんは
「俺ももうちょっと使ってもらえそうだな」
「俺もな、お前がちょっと羨ましかったんだよ」

僕はものすごくびっくりした!
「え!?なんで?」

「朝も夕方も、人間がデートって言うのにもお前を連れて行くだろ?」
「俺も、もうちょっと使ってくれないかな、って思ってたんだ」

「そっか」
「でも、家の中で使ってもらえる機会が増えるなら、それもいいもかな」
「これからも、仲良くしてくれよな!」

「そうだね、お兄さん」

ラジカセンさんは
「あら、私も仲間に入れてよね!」
「私もよろしくね」

これからの生活が楽しくなりそうだな、とやっと僕も思えるようになった


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2024-05-05 00:30:19 *ゆかり*


作 林柚希

私はゆかり
紫と書いてゆかり
紫色のカーネーションなの
カーネーションの世界では珍しい部類なのよ

人間の間のイベントとやらで「母の日」で
贈られた花なの
だけどまだ花先が少し開き始めたばかりで
そんなに咲いてはいない
毎日、人間の「お母さん」が
水を撒いてくれるけど
いつまで私の命は持つのだろう

昼間は「ベランダ」と呼ばれるところで
いるのだけれど、夜は家の中に運ばれる
花の間の噂では「破格の扱い」なのだそう
でも、だから昼間しか逢えないある存在がいるのです

ぶ~んと、いう音でよく見てみたら
虫が近くに飛んできた
「やぁ」
声をかけられて戸惑っていたら、
「珍しいね、君」
「そうかしら?」
「あ、俺ミツバチなんだ」
「私はカーネーションよ」
「君から蜜をとってもいいかな?」
「蜜!?そんなのあるのかな」
「まぁ、いいや。これからもよろしくね!」
ぶ~んと他の花に飛んで行ってしまった


次の日
「やぁ」
「あ、いらっしゃい」
「もうちょっとで咲きそうだね」
「そうそう、私はゆかりって名前があるのよ」
「そうなんだ。俺はミツオ」
ゆかり「よろしくね」
ミツオ「よろしく」
ミツオ「明日もまた来るよ」
ゆかり「また来てね」


次の日
ミツオ「やぁ」
ゆかり「こんにちは」
ミツオ「だいぶん、咲いてきたね」
ゆかり「きれいかな?」
ミツオ「うん、キレイだと思うよ」
ゆかり「私はあなたが羨ましいな」
ミツオ「え!?なんで?」
ゆかり「自由に飛べる羽を持っているから」
ミツオ「でも、しがない働きバチなんだぜ?」
ゆかり「ハタラキバチ?」
ミツオ「そう。ずっとずーーーーっと蜜を集め続けなければならないんだ」
ゆかり「でも、やっぱり自由に動けるって羨ましい。私はここにいるだけなんだから」
ミツオ「俺はキレイに咲ける花って羨ましいけどな。人間に大切にされるだろ?」
ゆかり「大切にされているけれど、花が咲き終わったらどうなるか…」
ミツオ「それは俺も同じなんだ。1年生きられないんだぜ、俺たちは」
ゆかり「そうか、同じなんだね」
ミツオ「同じだな」
お互い、はぁ~とため息をついて

ゆかり「でも、おしゃべりできて私は嬉しい」
ミツオ「俺も嬉しいんだ」
ゆかり「また来てね」
ミツオ「おう!」


次の日
ミツオ「やぁ」
ゆかり「こんにちは」
ミツオ「また来ちゃった」
ゆかり「よかった、来てくれて」
ミツオ「コッソリと来てるんだ。だからナイショにしてくれな」
ゆかり「そうなんだ。わかったナイショにしとくね」
ミツオ「まぁ、…まわりの花達にはバレてるけどな」
ゆかり「そりゃ、そうだね」
二人でぷ~っと吹いて

ゆかり「今日もいい天気」
ミツオ「飛んでて気持ちがいいよ」
ゆかり「あなたの羽、とてもキレイね」
ミツオ「そうか?誰にもホメられたことないけどな」
ミツオ「お前の花びらもキレイだぞ。水が宝石みたいについてて」
ゆかり「ありがとう。私もあなたにホメてもらうのが一番嬉しい」
ミツオ「そう言われると照れるな」
二人で今度は照れ笑い


次の日
昼ごろ、寝坊した「お母さん」がゆかりをベランダのいつもの場所に置くと
そこには!

ゆかり「ミツオ!ミツオ!」
ゆかりのそばにはミツオが倒れていたのでした

ゆかり「嘘でしょう?昨日まであんなに元気だったのに」
ゆかり「ミツオ!ミツオ!」

ミツオが気がついて
ミツオ「う…。」
ゆかり「大丈夫!?ミツオ?」
ミツオ「大したことない、…って言いたいけど。アチチチ」
ゆかり「どうしたの?何があったの?」
ミツオ「たまたま通りがかった、スズメバチって奴に張り倒されてさ、イチチ」
ゆかり「そうだったんだ。仲間はいなかったの?」
ミツオ「仲間は、…皆逃げて行ったんだ」
ゆかり「ヒドイっ。なんで?いつもミツオが蜜を届けているのに…」
ミツオ「仕方がないんだ。ガタイが…体の大きさが違いすぎるんだよ」
ゆかり「でも…でも。私の蜜は食べられないの?元気にならない?」
ミツオ「ホントはいけないんだけど…。ちょっともらうな」
ゆかり「うん、食べて、食べて!!」
ミツオはよろよろとゆかりにたどり着いて、蜜をひと舐めした後、
そのまま「ベランダ」の端に落ちていきました

ゆかり「ミツオ!ミツオ!」
ミツオ「最後に…、ゆかりに会えて、よかっ…た」
ゆかり「嘘でしょう!?ミツオ~~~~~~~~~~~~~!」
ミツオ「お前、頑張…って、生きていけ…よ…」
ゆかり「うん、わかったから、わかったからまた会いたいよ…」
ミツオの亡骸の横で、しおれそうな気分になりながら、ゆかりは満開に咲いたのでした


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2024-05-04 13:07:56 *雨の中の子犬*


作 林柚希

雨の中で出会ったあの日
「飼ってください」の冷たい文字
思わず立ち止まって
覗きこむと
黒い目に鼻の周りの黒い子犬

「うちは飼えませんよ」
お母さんの言葉を思い出すけれど
震える子犬を見て大決心
(せめて暫くの間まで)

家の小さな庭に隠して
こっそりとミルクをあげてみる
遠慮がちに飲み始める子犬
思わず抱きしめて一大決心
(きっと飼ってみせる!)

夕ご飯の後、サイコロステーキをちょろまかして
お皿に盛ってコソコソと
お庭でまた楽しい再会
ものすごくお腹が空いていたのかな
勢いよく食べ始める

「アナタ、何やってるの?」
ハっと振り返ると
お母さんの疑問顔が一転
「ウチでは飼えませんよ!」

お母さんとひと悶着
これまで続かなかったおけいこ事
(でも、これだけは!)

絶対引き下がらない僕に
お母さんはとうとう根負け
「じゃあ、お父さんと話してからね」

(やった!)
これまでこんなに粘ったことないけれど
きっとお父さんにも話してみせる!

「ずっと一緒にいような」
子犬の頭をなでなでして
今日はひとまずおやすみなさい


深夜帰宅のお父さん
「アナタ実は…」
お母さんの困り顔
「しょうがないな」
お父さんの困り顔
お父さんは犬が苦手
小さい時に噛まれてからは触りもしない

「おはよう!」
一大決心の僕にお父さんも
「おはよう」
なんだか微妙な顔つき?

朝ごはんを食べながら
「お母さんに聞いたと思うけれど…」
僕が説明を始める
大体を聞き終えたお父さんは
「実は、お父さんはな」
お父さんの過去を聞かされてびっくり
でも、引き下がりたくはない!
「そうなんだ。でもね世話は絶対僕だけでやるから!」

お父さん「お前、これまで続いたおけいこごとないだろ」
僕「でも、これだけは諦めたくないよ」
僕「子犬を死なせたいの?お父さん」
お父さん「それは…」

かなり考え込んでからお父さんのひとこと
「お前には負けたよ」
「飼ってみなさい。その代り、命を預かるのだから
最後の最後まで、面倒をみなさい」
「わかった!ありがとう!お父さん」

お母さんの用意してくれたご飯を片手に
庭へもうダッシュ!
「おい!飼ってもいいって!!」
ご飯を嬉しそうに食べている子犬を見て
お父さんもひとこと
「お前、名前つけてやれよ」
「そうだね。お父さん、ありがとう」
でも、ちょっと怖そうにしててあまり近寄らない
お父さんも好きになってくれるといいなぁ
まずは、名前を考えなくちゃ


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